「悲惨すぎる」産後うつで実家に戻っている間に子どもを連れ去られる母親の「慟哭」
「共同親権」「子どもの連れ去り」という言葉を聞いたことがある人、多数いらっしゃるのではと思います。 「子の連れ去り違憲国家賠償訴訟」の共同代理人を務める神奈川法律事務所所属の弁護士・大村珠代先生に、この問題について5話連続で詳しくお話を伺うシリーズです。 普段DV・モラハラを受ける女性の声を聞く機会が多い編集部は、引き続き「DVから逃げきれなさそうな」共同親権には懐疑的な立場でお話を伺っています。
「連れ去られた側の女性」はさらに理不尽で悲惨な目にあう
#1では「DVに苦しむ女性が子どもといっしょに逃げる」典型的なDV離婚プロセス「ばかりではない」というお話を伺いました。むしろ女性が連れ去られる例も多々あるとのこと。 「女性側が子どもを連れ去られると、それはもう過酷です。まず、実情に関わらず『親権がとれない女性にはよほど問題があったのだろう』と偏見の目で見られてしまい、孤立しやすい。さらに、一般には母子のきずなのほうが強いため、連れ去った夫はそれを断ち切ろうとしますから、全然会わせずにひたすら悪口を吹き込むということも起きます」 あっ、それは最近私の身近でも耳にしました。夫が連れ去って、妻は会わせてもらえないケースですが、夫は相当悪口を吹き込んでいるらしいです。 「そのほか、残酷な例では、出産後に産後うつになって母親がひとりで実家に帰り、復調したので戻ろうとしたら家に入れてもらえず、それ以降子どもと断絶されたケースもあります。同居していない側の親に親権が認定されることはまずありませんから、打つ手なしです。本当に苛烈なシステムだと思います」 そもそも、この「争う」制度自体にも疑問があると大村先生。子どもは親同士が罵り合う姿を見ることになるため、心に深い傷が残ることもしばしばあるのだそう。 「西欧ではDVの有無とはまた別に、『自分の生活をある程度は選ぶことができる』親よりも、『いやおうなしに親とともに暮らせなくなる』子どもの権利をまず第一に考え、子どもが本来持っていたはずの権利を可能な限り保全することからスタートします」 具体的にはどのように? 「子どもの連れ去り自体を有罪、またはのちの監護親指定の際に不利にすることで、連れ去りそのものを防止し、その上で離婚後の養育計画の作成を義務付けています。これは、連れ去り自体が子どもの成長に悪い影響を与え、連れ去られた親に対しても精神的な問題を引き起こす可能性があるためです。共同親権、共同監護ですから、そもそも連れ去る意味がないんですね」