中国の体育施設前で車暴走、35人殺害の男に死刑判決
中国南部・広東省珠海で11月にスポーツ施設前で運動する人たちの間に男が運転する車が突っ込み、少なくとも35人を殺害した事件について、同市の中級人民法院(地裁)は27日、危険な方法による公共安全危害罪に問われた樊維秋被告に対し、死刑を言い渡した。 少なくとも35人が死亡し、多数の負傷者が出たこの事件は、中国における公共の場での暴力行為としてはこの数十年間で最悪のものとされる。 裁判所によると、樊維秋被告(62)は離婚後の財産分与に「不満」を抱き、体育館前の広場で運動していた人たちの中に猛スピードで車で突進した。 裁判所は動機を「極めて悪質」として、犯行手段は「とりわけ残酷」だったと述べた。 目撃者の一人は中国誌「財新周刊」に対し、広場にある「ランニングトラックのあちこちで被害者が出た」と証言した。現場は運動のために大勢が集まる人気の場所だった。 事件発生当初、被告は刃物で自分を負傷させて意識不明だと報じられていたものの、法廷では被害者の家族や一般市民の前で有罪を認めたと、現地メディアは伝えている。 中国では今年、19件の無差別襲撃事件が起きた。珠海市の事件から1週間以内に、2件が相次いだ。 すべての無差別襲撃事件で車両が使われたわけではなく、2月には山東省で刃物と銃器を使った事件で少なくとも21人が死亡した。山東省の事件については当時、中国当局が報道を厳しく統制した。 一連の無差別襲撃事件による死者は、少なくとも計63人に上る。負傷者は計166人。前年の死者16人、負傷者40人から急増している。 中国での無差別攻撃事件の増加は、経済が減速し将来への不安が高まることに伴い、世間全般に不満と怒りが増えていることの表れかもしれないという見方もある。 「たくさんの不平不満が鬱積(うっせき)している社会特有の症状です」と、カナダのトロント大学で中国政治を専門とするリネット・オン教授は11月の時点で、AFP通信に話している。 (英語記事 Driver who killed dozens in China car attack sentenced to death
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