プロ注目!「四季報」徹底分析で分かった「増益&増配」に期待「低PBRの日本株」10銘柄
絶好の仕込み時
当初の業績予想より下振れしたため株価が低迷したのが日揮ホールディングス(1963)だ。総合エンジニアリングで国内トップの同社は、海外ではLNGプラントや発電プラントも手掛ける。 再生エネルギー関連や水素エネルギー関連など将来性ある分野にも注力中だ。それでもなお株価が低迷したのは、2024年3月期の業績が、営業利益ベースで事前の会社予想を大きく下回ったことによる。 また直近では6月18日にはSMBC日興証券が投資評価を「1(アウトパフォーム)」から「2(中立)」に引き下げ、目標株価を2600円から1500円に引き下げたのも株価押し下げの要因になっている。 それでも2025年3月期、2026年3月期と増収増益と成長路線に戻ることを考えれば株価は割安水準だ。株価は2023年8月に2291円をつけたものの、その後低迷、1200円割れ寸前まで落ち込んでいる。予想配当利回り3.12%、PBR0.8倍。絶好の仕込み時ではないだろうか。 セラミックス総合メーカーの美濃窯業(5356)も挙げておきたい。耐火れんがが主力でプラント、建材・舗装用材、電子部品向けも扱う。半導体業界向けの設備が上向き、設備投資旺盛な鉄道向けも業績をけん引している。 業績は好調。2024年3月期は期初の予想を上回る数値を叩きだした。さらに2025年3月期も増収増益を予想。好調な業績を反映して株価も上昇を続けている。 2023年年初は500円以下だった株価水準は年末には765円の高値をつけ年明けには870円まで上がり続けた(現在は800円台前半まで調整)。それでも株価は割安。予想配当利回りは3.99%、PBR0.61倍。
建設業の2024年問題が「追い風」に
建設業の2024年問題がむしろ「追い風」になりそうな銘柄が、ナレルグループ(9163)。主力事業は建設業界向け技術者派遣で、IT技術者派遣にも業容広げる。建設現場での人手不足は深刻で需要は高く、2024年10月期、2025年10月期ともに増収増益の勢い。増配もあり予想配当利回りは4.29%。PBRは1.82倍にもなるがあえて成長性に注目して推してみた。 株価は2024年に入ってから2ヵ月で4000円直前まで急騰したあと、今度は急落した。2500円を割るかと思われたところから反発したが、まだ株価3000円も回復していない。いずれ4000円を目指した動きになるだろう。 同じ建設関連でもコンサルに特化したのが人・夢・技術グループ(9248)だ。長大橋で高技術を持つ長大を子会社に持つ。老朽化するインフラ整備、国策である国土強靭化が追い風。スマートシティ事業部を立ち上げ、田園都市構想に注力している。 今期(2024年9月期)、来期ともに増収増益。予想配当利回りは4%を超え、PBRも0.71倍と割安。株価は2022年10月に2791円の高値をつけたあと3ヵ月で株価半減するまで急落。現在1700円近辺で低迷した状況だ。いずれ水準訂正があってもおかしくない。 今後の株式市場についての見通しは、(いつの時代でもそうだが)強気と弱気に分かれている。とりわけ米国市場の利下げ問題がどうなるか不透明な状況で、株式市場も為替動向に敏感になっている。 日本の株式市場はいま、「気迷い」状態だ。年内、株価が急騰する・急落するその二つのシナリオはどちらも十分にありえそうだ。 今回挙げた10の銘柄は、どちらのシナリオにも耐えられるのではないだろうか。これから選別物色されるようになれば、物色の対象になりやすい銘柄群だと考えている。 ーーーー 連載〈半導体バブルに乗り遅れた人必見! むしろ今が買い時の「半導体関連お宝株」厳選10銘柄を実名公開〉もあわせてお読みください。
安恒 理(ライター)