インパルが手がけたリーフは、エクステリアから足まわりまで、そのクオリティを貫いていた【10年ひと昔の新車】
インパル リーフ(2012年:チューンドカー)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、インパルが手がけた日産 リーフ(初代)だ。 【写真はこちら】ノーマルよりも硬めの足まわりだが、不快な硬さはない。乗り心地もフラットだ。(全9枚)
エコカーに乗っていると「クルマ好きじゃないんですね」と言われることがある。果たしてそうだろうか? 環境や燃費のことだけ考えて、それだけでエコカーをチョイスしている人がどれだけいるだろう? そんな気持ちでは、まだまだ高価なエコカーをわざわざチョイスすることなんてできない。 だからこそ、いま(編集部註:2012年)EVのリーフを個人で買った人は、真のクルマ好きだと思う。インフラが完全に整っていない現在、EVはまだまだ使いにくく、実用性に乏しい。にも関わらず大枚を叩いて乗っている。それは、地球環境を考えてとか、経済的だからではなく、クルマが好きで好きでたまらなくて、EVがどんなものか試したかったのではないだろうか。 ならば、そんな気持ちを全面に押し出して、エコカーの代表格であるリーフをイジって心底楽しんでみてはいかがだろうか。ここで紹介するインパル(IMPUL)リーフは、その良い素材となるだろう。低く構えた車高と、ホットハッチを思わせる大胆なデザインには、もう優等生なだけの姿はない。そこにはこだわりを持ってリーフに乗っているのだと主張できる、さまざまな要素が詰め込まれている。 特にフロントまわりの仕上げは圧巻だ。長さをおよそ20mm延ばしたフロントバンパースポイラーは、下まわりのエア導入部を内側に一端くぼませてから延長するという手法を用いることによって、ボリューム感とアクの強さを生み出している。充電ポートのカバーに供えられたエンブレムがインパルデザインに変更されているのも、他とは違うことを主張するアクセントだ。
エコカーとは思えない走りを支える低重心化
一方、ディフューザー形状を盛り込み、エアの排出にも気を配ったリアバンパーの造形もボリューム感満点だ。こちらは10mm後方に拡大することで、輸出仕様かと思えるほどの高級感が備わっている。ルーフにセットされたウイングタイプのリアスポイラーは純正スポイラーの上に載せるような形となり、リアまわりをより力強く見せることに成功している。 さらに、サイドビューは30mmのローダウンを実現するスプリングと19インチタイヤ&ホイールにより、一気に安定感が増している。フロントとリアのデザインを繋ぐサイドステップもそれを助長する感覚で、トータルで美しいラインを生み出している。どこを見ても、これはタダモノではない雰囲気だ。 それは走ってみても同様だった。リーフは床下にバッテリーユニットを搭載するため、そもそも低重心感覚が強い。だが、インパル リーフはローダウン化によってその感覚がより一層強調され、19インチ化によって得られた安定感とともに、エコカーとは思えぬコーナリング性能を楽しませてくれる。 それでいて乗り心地が悪化していないところもポイントのひとつだ。これはノーマルのダンパーを採用しているためだろうが、このレベルでも走りと乗り心地を両立してしまうあたりが、リーフのそもそものポテンシャルの高さなのだろう。これなら優等生なだけのエコカーだと言われることもない。見て良し、走って良し。そんな次世代スポーツEVを感じさせる、インパル リーフの仕上がりだった。
日産 リーフ G(ベース車両) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4445×1770×1545mm ●ホイールベース:2700mm ●車両重量:1520kg ●モーター:交流同期電動機 ●最高出力:80kW(109ps)/2730ー9800rpm ●最大トルク:280Nm(28.6kgm)/0-2730rpm ●バッテリー総電力量:24kWh ●JC08モード航続距離:200km ●駆動方式:FWD ●タイヤサイズ:205/55R16 ●当時の車両価格(税込):406万350円
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