『ミス ディオール展覧会』、女性アーティスト・江上越の作品が与える彩り。
2024年6月から7月15日(月・祝)まで六本木で開催されている『ミス ディオール展覧会 ある女性の物語』。ミス ディオールという香りは、クリスチャン・ディオールの妹、カトリーヌ・ディオールをそう呼んでいたことが誕生の理由でもある。まさに、ディオールというメゾンにとって特別な逸品であり、さまざまな物語とコードを持つ。 戦時、レジスタンスとして戦った強い意志と、創造への敬愛を持ったカトリーヌの歴史と重なるように、今回、素晴らしい女性アーティストたちの作品がこの場を飾る。作品を出品した若手芸術家、江上越に話を聞いた。 Etsu Egami 1994年生まれ。日本、中国、ヨーロッパを中心に活動。日本戦後第三世代の芸術家と呼ばれる。自身の体験から人間と社会の本質を問いかけ、国際性と多様性に富んだ新世代のアーティスト。2021年FORBES ASIA世界を変える30歳以下の30人に最年少アーティストとして受賞。現在チューリッヒのZwei Wealthにて個展を、ニューヨークのAlbertz Bendaにてグループ展開催中。日本国内では7月26日~8月14日までギンザシックスの蔦屋書店アトリウムにて個展、8月10日~10月28日まで富岡市立美術博物館にて展覧会を開催予定。
――今回、ミス ディオールと出会い、江上さんのどんな部分が刺激されましたか? どんな想いを込めてミス ディオールとの作品を創られましたか?
ミス ディオールの歴史を紐解いた時、女性の多様な美しさというイメージが強く浮かんできました。それが今回、「虹色」と題して女性像を描いた作品に繋がりました。そして「虹色」は自分自身のテーマでもあります。 「虹色」は色のグラデーションがあっても濁らず、それぞれが鮮やかで交わらない。平行線の中で共存していて、永遠に、自由に延伸していきます。夢や希望を象徴するものでもあります。もともとは、女性やコミュニケーションについてグレーゾーンのようなイメージを持っていましたが、次第に「虹色」を女性の多様性やコミュニケーションの象徴であると感じるようになりました。 このキーワードから、さまざまな色と光の中で、人種や皮膚の色に関係なく踊っている女性たちの姿を、動的なストロークの強さで描きました。 ミス ディオールには、エレガンスと奔放さ、繊細さと大胆さのような、女性に秘められた多面性と、そして時代を牽引する魔法を感じます。伝統と革新を持ち合わせる現代の女性像のように思います。その女性の多様な美しさが、私の中の「虹色」のイメージといちばん近く重なるものです。