【40代・50代、知れば知るほどおもしろい!ホルモンの世界①】食欲を司るふたつのホルモン「レプチン」「グレリン」をうまくコントロールして太りにくい体に!
私たちの体内で重要な働きをしてくれているホルモン。40代、50代だと「女性ホルモン」エストロゲンの働きは、よく知っているところだろう。でも体内にはもっとほかのホルモンが存在し、その数なんと100種以上!知れば知るほど、不思議で面白いホルモンの世界を探検してみては? 第1回は食欲にかかわるホルモンについて。40代、50代になると女性ホルモンの減少により、中性脂肪や内臓脂肪が蓄積されやすくなってどうしても太りやすくなる。こんな状態を防ぐ、心強いホルモンが存在! それが今回取り上げる、満腹ホルモン「レプチン」と空腹ホルモン「グレリン」だ。内科医の工藤孝文さんに、このふたつのホルモンについて教えていただいた。
満腹感を感じ食欲を抑えるのが「レプチン」、空腹感を感じ食欲を増進するのが「グレリン」
女性ホルモンが低下するだけでなく、代謝も低下していく40代、50代。またストレスが多い世代でもあるので、それを解消しようとつい過食に走ってしまうと、さらに太りやすくなってしまうことに…。こんな事態を防ぐカギが、食欲にかかわる「レプチン」と「グレリン」というふたつのホルモン。どのようなホルモンなのだろうか? 「簡単に言うと、レプチンは食欲を抑制するホルモンで、グレリンは食欲を増進させるホルモンです。 まずレプチンは、食後の血糖値の上昇に反応して分泌され、脳の満腹中枢を刺激して“もう食べなくていい”という状態にします。これによって満腹感を感じるので、“満腹ホルモン”とも呼ばれます。また、レプチンには、エネルギー消費量を増やして、脂肪の蓄積を防ぐ働きもあります。ですから、レプチンの血中濃度を高く保てれば、暴飲暴食に走らず、太りにくい体でいられるといえます。 一方、グレリンは、体のエネルギーがなくなると胃から分泌され、脳の空腹中枢を刺激することで、私たちは“お腹が空いた”と感じます。つまり、別名“空腹ホルモン”です。グレリンにはほかに、細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアを元気にしたり、成長ホルモンの分泌を促す働きもあります。成長ホルモンは、疲労回復や、免疫機能や肌の修復など心身のメンテナンスに不可欠で、老化予防や生活習慣の予防もサポートします。つまり、グレリンは若返りにもかかわる重要なホルモンといえます。 この食欲にかかわるふたつのホルモンは、どちらか一方の働きが強まれば、もう一方の働きが弱まるというシーソーのような関係にあるので、適正体重をキープするには、どちらかに偏らないようにバランスが保たれていることが大切です」(工藤先生)