神戸徳洲会病院で相次いだ医療事故の報告書に「複数の誤り」…遺族「不誠実な対応、どう終結させるべきか苦しい」
外部の専門医らは治療経過も疑問視する。いずれの専門医も来院時の検査結果から「男性は細菌感染による敗血症」と推測したが、すぐに行うべき抗生剤投与は翌日昼にずれ込んでいた。
ある救急医は「必要性の低いカテーテル検査が緊急で行われる間、敗血症が見逃され、治療が遅れたことで死亡に至ったのではないか」と指摘した。
専門家「経過が十分検討されているように見えない」
遺族は9月の個別説明会で疑問点をぶつけた。病院側は同意書への無断署名疑惑について「あったかもしれず代筆と書くべきだった。説明が 疎(おろそ)かになっていた」と釈明。心臓エコーのデータの誤りを認め、抗生剤投与が翌日昼と遅かったことについては「心臓の治療を優先していた」とする一方で、明確な謝罪はなかったという。
医療事故に詳しい堀康司弁護士は「報告書の事実関係に誤りがあるとすれば、検証の客観性や正確性に疑問が生じる。経過が十分に検討されているようには見えない」とする。
遺族によると、病院側から再検証や報告書の修正の申し出はなかった。「事故と認めてほしいわけでも責任追及をしたいわけでもない。不誠実な対応を受け、どう終結させるべきか、苦しんでいる」と語る。
一連の問題を巡っては被害弁護団も結成され、病院側の調査を不服として第三者による再調査を求める動きも出ている。
病院側はこれまでに、患者の糖尿病を見落とした例、カテーテル治療で脚の血管を損傷した例など死亡3件を医療ミスと認めて謝罪した。この男性を含む他の事例の検証結果も近く公表される見通しだ。