<ソチ五輪>フィギュア団体はなぜ敗れたのか?
ペアでは、男子選手が女子選手を持ち上げたり、回転させながら飛ばすという、力の必要な技があり、男女の身長差は30センチ程度は必要とされている。そして、アイスダンスでは見栄えも重要。リード組は、弟のクリスの身長が185センチ、姉のキャシーは168センチと非常に恵まれているが、日本で、この体格のフィギュア選手が生まれるのはなかなか困難だ。 今後は日本スケート連盟が主導して、カップル競技の普及と強化をさらに推し進める必要がある。すでに始めていることは、大会の整備。長い間、ノービス(小学生)の大会にはシングルしかなかったが、2012年からはダンスのカテゴリーも追加した。 下の世代からの育成が急務だが、ペア結成から1年でSP10組中8位になり、3ポイントを獲得した高橋成美&木原龍一組は、今回の五輪出場を通じて多くの子どもたちに影響を与えているに違いない。また、シニア向けにも、カップル競技の裾野を広げるために、3年前から年に2回、ペアとダンスのトライアルを開始。2泊3日で合宿を組み、ペアのマッチングも行っている。これらはすぐに成果として現れるものではないが、いずれ必ず生きてくるであろう取り組みだと言える。 さらに、団体メダルのためのもう一つの側面として、団体戦の位置づけをどう定めるか、ということがある。今回、金メダルに輝いたロシアは、男子シングルではエフゲニー・プルシェンコがSPとフリーに、そして女子シングルではユリア・リプニツカヤがSPとフリーに出場した。プルシェンコはSP2位、フリー1位、リプニツカヤはSP、フリーとも1位。プルシェンコの場合は、ロシアの男子シングルの出場枠が1つなので、自動的にすべて滑らないといけないのだが、女子シングルにはもうひとり、ソトニコワもいるのに、15歳の新星、リプニツカヤの起用で万全を期した。まさに開催国の威信を懸けて金メダルを取りに行っていたのだ。