衝撃!“メダル大国”豪州、英国も今夏の東京五輪への選手団派遣拒否…もはや延期以外に選択肢なし
IOC(国際オリンピック委員会)が新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大を考慮して4週間以内を期限に東京五輪延期を含めた検討に入ったと表明したことを受け、安倍首相、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長も23日、「延期の判断も行わざるを得ない」と、その方針に沿うことを初めて認めた。だが、もはや延期以外の選択肢がなくなってきた。 24日までに豪州の五輪委員会、英国の五輪委員会が、もし2020年に予定通りに五輪が開催される場合、選手を派遣しない方針を決定したのだ。複数の海外メディアが報じたもので、カナダの五輪委員会に続く派遣拒否となった。 米ABCニュースの報道によると、豪州の五輪委員会は23日、予定通りのスケジュールで五輪が行われた場合、選手の派遣を行わないことを満場一致で決定。豪州五輪委員会は「我々の選手たちは今、彼らや周りにいる人々の健康を優先し、家族のもとに戻る必要性がある」との声明を発表した。豪州五輪委員会のマット・キャロルCEOは「選手たちは2021年の東京五輪へ向けて準備を進めるべき」とコメント。1年の延期を求めた。 水泳王国として有名な豪州は、それ以外にもボート競技、男女の7人制ラグビーなどの金メダル候補で、2016年のリオ五輪では420人の選手を派遣し、競泳、女子ラグビーなど8個の金メダルを含む29個のメダルを獲得、国別メダル獲得数で10位に入っている。調査機関の「グレースノート」の予想によると、東京五輪でも、金17個、銀16個、銅12個のメダル獲得数計45個で、国別メダル獲得数で5位に食い込むとされている。 また英国のBBCは、英国五輪委員会も、カナダ、豪州に続き、東京五輪が予定通りの日程で強行されるのであれば、派遣を拒否する考えを固めたことを伝えた。
リオ五輪でメダル獲得数2位の英国も派遣拒否
同メディアによると、英国五輪委員会のヒュー・ロバートソン委員長が、「(新型コロナウイルス感染拡大の)状況が深刻化していく中で、(東京五輪を予定通りの日程で)うまくやれるようには、とても思えない。我々は、近々、カナダや豪州に続くことになるだろう」と語ったという。さらに同委員長は、「とても単純なことだと思う。ウイルス(の感染拡大)が政府の予測通りに今後も続くのであれば、我々がチームを派遣することはできないのだ」とのコメントを続けた。 英国も五輪では欠かせないメダル大国だ。5大会連続でメダル獲得数を増やしており、前大会のリオ五輪では、金27個、銀23個、銅17個の計67個のメダルを獲得して国別メダル獲得数ではトップの米国に続き2位に食い込んだ。ロンドン五輪の65個を上回っており、東京五輪でのさらなる飛躍が期待されていた。自転車競技、ボート競技で、圧倒的な強さを発揮しており、陸上の5000メートル、1万メートルでロンドン五輪、リオ五輪でそれぞれ連覇、4つの金メダルを獲得している”英陸上界のレジェンド” モハメド・ファラー(37)は、東京五輪でトラック3連覇を狙っている。 IOCも、東京五輪は、現時点では、あくまでも延期についての検討で、4週間以内に結論を出すとしているが、カナダ、豪州、英国というメダル大国が、派遣拒否を決定したことで、もはや延期以外の選択肢は難しい状況になった。 古参のIOC委員で、早い段階で「5月下旬に決断」を発言して波紋を呼んでいたディック・パウンド氏は、米USAトゥデイ紙の電話インタビューに対して「IOCが持っている情報に基づいて延期が決定された。今後の日程は決定されていないが、大会は7月24日には開始されない」と断言した。 あとは、その延期の時期の問題。今秋なのか、1年延期なのか、2年延期なのか。USAトゥデイ紙によるとパウンド氏は、「次の4週間で詳細が明らかにされ、五輪は2021年に移される可能性が高くなるだろう」と1年延期の可能性が濃厚な現状を明らかにしたという。 他の国際スポーツイベントや、会場、宿泊など調整しなければならない点が多く、結論を導きだすのが難しい問題ではある。だが、先日、米国陸上界の”レジェンド”マイケル・ジョンソンが、「途中経過を早く選手に伝えるべきだ」と主張していたように、アスリートの心情を考慮すると、1日でも早い情報公開が必要になってくるのかもしれない。