獣医師が教える「愛犬の腸内環境を整える」6つのメリット
近年、脚光を浴びているワンコの腸。腸内細菌の役割、また腸内の環境が乱れるとどんな問題が起きてしまうのでしょうか? 獣医師の林美彩さんが解説します。 【グラフ】犬を飼うと、年間でどのくらいの費用がかかる? 米国のデータを見る ※本稿は、林美彩著、古山範子監修『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』(世界文化社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
現代のワンコの腸はどうなっているの?
ワンコの腸は腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)という菌の集合体を持っていて、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在します。 人間もそうですが、ワンコの場合も"善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7"の割合で存在しているのが理想のバランスであり、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れることで、下痢や便秘、肝臓・腎臓などの内臓の疾患、アトピーなどの皮膚疾患、アレルギー、精神疾患などさまざまな不調の恐れもあります。 獣医師として感じるのは、現代のワンコたちは過去のワンコと比較して、多少なりともわたしたち人間と密に関わるようになったこと。医療の発展や環境・食事なども見直されるようになって長生きワンコが増えてきました。 一方で、祖先であるオオカミと比較して腸の長さはやや長くなり「雑食性」が強くなったものの、人と比較した場合にはまだ「肉食寄り」の体のつくりです。 しかし、現代の食事は、ワンコが消化しにくい栄養素が多く含まれているものが多く、胃腸に負担がかかってしまっていたり、生活環境でも有害物質などがあふれていたりするため、それらによる腸内環境の乱れから、体調不良を訴える子も少なくありません。
ワンコの腸内環境が良い状態と悪い状態
人間と同じようにワンコも、善玉菌と悪玉菌のどちらかが多すぎても、少なすぎても、腸内環境は悪化してしまいます。これに日和見菌を加えた、バランスの良い状態が健康的といえます。 割合としては、くり返しますが、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7であることが理想です。善玉菌が悪玉菌より多いことで、日和見菌が善玉菌の味方になってくれます。 日和見菌は文字どおり、生活習慣や食生活などの様子をうかがい優勢なほうにつく菌です。そのため、悪玉菌が多くなると、日和見菌は悪玉菌の味方についてしまい、腸内環境は悪化してしまいます。 犬の腸内環境が悪化すると、アレルギー性皮膚炎やがんなどの症状を発症する可能性や、肥満や糖尿病につながることも指摘されています。また、腸内環境はストレス、老化・食べ物などによって悪化します。