獣医師が教える「愛犬の腸内環境を整える」6つのメリット
\腸内環境に悪影響を及ぼすNo.1・ストレス/ 環境や気候の急激な変化や、運動量が少ない、室内で長時間過ごしている、遊んでもらえない、飼い主に叱られるなどです。逆に、過剰すぎるワンコへのコミュニケーションや多頭飼育がストレスになる場合も、腸内環境のバランスを崩す要因になります。 \年齢を重ねることは避けられない老化/ 年齢を重ねると老化が起こり、体の状態も変化します。そして、老化により善玉菌が減少し、悪玉菌が増えることで腸内環境が悪化します。 \質により腸内環境を左右する食事/ 脂肪分や添加物の多い食事は、体に負担がかかってしまい、腸内にも悪影響を及ぼします。ほかにも治療による抗生剤の投与が、腸内環境に影響を及ぼす場合も! 悪さをしている菌を抑える目的で抗生剤を使いますが、その際に善玉菌にも作用してしまうため、腸内環境の悪化につながってしまうことがあります。
免疫の7割を担っている!? 腸内環境を整えるメリット
腸内環境がいい=健康ということはなんとなくわかるけれど、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか? その疑問にお答えしましょう。 免疫の7割は腸が担っていますので、腸内環境を整えて免疫がしっかり働けるようにするということが大事です。 では、免疫とは何でしょう? それは、ひと言で言えば、体内に生じるさまざまな異物に反応し、それらを抑え込んでくれる機能のことです。例えば、ウイルスが体内に入ってきたとしましょう。 すると、体内で伝達物質を分泌して、ウイルスの細胞を破壊するよう命令します。このように、ウイルスに感染した細胞を破壊する防御機能を免疫と呼ぶのです。 免疫がしっかり働ける=健康が保たれる=長生きの秘訣であると考えています。 また、今は脳腸相関、腸肝相関、腸腎相関、腸皮膚相関というように、腸+そのほかの器官の相互関係もわかってきているので、ワンコも腸を整えておくことが、結果的にほかの器官のケアにもつながるということです。 実際、アトピーのワンコは腸内細菌の種類が少ない、肥満のワンコは腸内細菌のバランスが悪い、認知機能が低下しているワンコの腸内細菌は多様性が少ないなど、腸内細菌と疾患の関係性を研究した論文がここ数年でたくさん出てきています。 ①免疫バランスが整う 腸内環境のバランスがよいと腸の免疫細胞が正常に働きます。それによって、腸内細菌のバランスが乱れているときと比べて、さまざまな病気のリスクが低くなります。 ②老化予防に期待 老化は経年による影響だけではなく、細胞や組織の炎症によっても起こるといわれています。腸内環境を整えると免疫細胞がよい状態に保たれて、炎症を抑えられるため、老化予防につながります! ③肥満予防 腸内環境のバランスを整えると、酢酸や酪酸などの総称である短鎖脂肪酸がきちんと作られるようになります。短鎖脂肪酸は、エネルギー代謝をコントロールする役割があり、肥満予防にも効果があるといわれています。 ④代謝UP! 腸が活発なら栄養素を効率よく吸収し、エネルギーを体の隅々にまで届けられ、全身に運ぶことで、血液の循環もよくなり、体温も上がります。エネルギーが行き渡った内臓は、働きが活発になり、基礎代謝もアップ! ⑤口臭予防に 食べ物として摂取した炭水化物やたんぱく質が腸内で腐敗してしまったり、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化してしまうと、口臭がきつくなる可能性も! 善玉菌を増やすことが重要です。 ⑥幸せホルモンが増え、イライラしない! 腸内環境を整えることで、必須アミノ酸のトリプトファンが吸収されやすくなり、それが脳に送られることで、脳内セロトニン(幸せホルモン)が作られ、精神安定や食べすぎ抑制が期待できます。
林美彩(獣医師),古山範子(監修)