衝撃TKOでV11成功の内山が来春米国進出へ
36歳。しかし、彫刻像のような肉体美に衰えはない。フィジカルを見ている土居進トレーナーは「腕がさらに太くなっていたので驚いた」という。 「今は、気持ちが充実している。気持ちが萎えると落ちるんだろうけれど、今は、あと3、4年はできる気持ちでいる」 内山は40歳まで現役を宣言した。 これで具志堅用高氏が持つ13度防衛の日本最長防衛記録に次ぐ、11度目の防衛となった。 「近づいてきたという意識はある。でもそれが目標ではない。自然に超えることができればいいと思う」 内山が、「ぜひやりたい」と熱望するのは、むしろ米国・ラスベガスでのリングでのニコラス・ウォータース戦だ。フェザー級時代にノニト・ドネアを倒したことで、一躍、その名を挙げてスーパーフェザーに階級を上げてきた27戦無敗のウォータースは、その転向緒戦を不可解な判定ドローで終えてミソをつけたが、内山にとっては願ってもないビッグネーム。 渡辺会長は、「次は大きな試合になる可能性がある。ギャラがどんどん上がっていけば、ずっとアメリカでやってもいい。ウォータースに勝てば、ガンボアも候補になってくるだろう。難しいかもしれないが、WBC、WBOの統一戦も視野に入れたい」と、早ければ来春を念頭に実現に動くことを断言した。 実は、内山は、すでに対ウォータースを意識したトレーニングを練習に組み込んでいる。土居進トレーナーは、「激しく動く相手にパンチを当てた際、力の伝達が分散しないことを意識したフィジカルトレーニングをしています。腹筋なら見えない下腹部。そして、細かい下半身の筋肉ですね」という。ウォータースは、長い手足と脅威のパンチ力を兼ね備えたボクサーファイターで、ジャマイカ生まれの身体能力を生かした動きが特徴。内山は、インサイドに入り込んで勝負するしかないが、そのためには、さらなるフィジカルの強化が必要になる。 内山に力の差を見せ付けられたフローレスに、内山対ウォータースの展望を聞くと、「ウォータースは的確にパンチを当ててくるし、内山とではちょっとレベルが違う。それに内山はそれほど引き出しをもっていない。ウォータースが有利だろう」と、負けた腹いせなのか厳しい見方をしていた。 シアトルから来日して精力的に年末のボクシング興行を取材していたボクシングのファンサイト「ノースパーリング」「ビハイントグローブ」のニック・スマーク記者は、「この前のウォータースの試合と内山の今日の試合のインパクトを見ると、内山が勝つ可能性もあるのかもしれないとの印象も抱く。彼は知的でリングで咄嗟に戦力を組み立てる力もある。ただ、ウォータースに対するには、今日のように足を止めては戦えない。もっとディフェンスの工夫も必要だろう」と、逆に内山が全米に衝撃を与える可能性があるという予想。 内山の遅れてきた全米デビューは、渡辺会長曰く「右拳、左肘と100パーセントの状況になるのを待っていた」そうだが、きっと強烈なインパクトを与えることは間違いない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)