【NBA】若きエリートチーム、サンダーを導くアレックス・カルーソ「トップに立ちたければ毎日偉大な存在でいなければ」
レイカーズでのNBAデビューの前年をサンダーで過ごす
アレックス・カルーソにとって今回のサンダーへの移籍は『復帰』だ。レイカーズの『ヤング・コア』の一員として世に知られるようになったが、その前にはサンダーに所属していた時期がある。2016年のNBAドラフトで指名を得られなかった彼は、サンダー傘下のGリーグチーム、オクラホマシティ・ブルーでプレーしていた。その後にレイカーズに行き、サマーリーグの活躍を機に2ウェイ契約でNBAデビューを果たし、レイカーズで4シーズン、ブルズで3シーズンとキャリアを重ねてきた。ただ、そのスタート地点はオクラホマシティなのだ。 現地6月25日に行われた入団会見での第一声は「ここは僕のプロキャリアが始まった場所だ」だった。「懐かしい顔ぶれが多くて、このクラブの継続性の素晴らしさを感じるよ。それは僕が新しいチームに馴染むのを助けてくれるだろう」 突然のトレードではあったが、カルーソは慌てることなく新たな現実を受け止めたと言う。「ここ何年か、トレードの時期になると噂が絶えなかった。だから噂には慣れていたんだけど、実際に決まると少し驚いた。ただしプロスポーツに移籍は付き物で、どんな移籍にせよベストを尽くすだけさ」 カルーソがプレーしていた頃のオクラホマシティ・ブルーを率いていたマーク・ダグノートが、今はサンダーのヘッドコーチとなり、若いチームを強豪へと引き上げている。トレードが決まってダグノートと電話していた時、カルーソは笑みを止められなかったそうだ。「また彼の下でプレーできると思うとうれしくなってね。サンダーのヘッドコーチになった彼は『もう生意気な口は利くなよ』と言い、僕は『最初の練習でミスをして怒鳴られるのが楽しみだ』と答えた。それが僕らの関係性なんだ。僕らは再び一緒になり、未来に向けて学んでいく」と彼は言う。 「僕にとってブルーでの1年間と、レイカーズで最初の2年間はとても重要なものだ。『泥から這い上がる』という表現がぴったり来るよ。ドラフトで指名されず、ポーランドかドイツに行く準備を進めていたところでサンダーからトレーニングキャンプに招待された。その年にはブルーで50試合に出場した。そうやって自分の望むレベルでプレーするには何が必要かを学んでいった」 「指名を受けられなかった選手がGリーグから這い上がり、NBAに定着するのは本当に大変だ。失敗できないというプレッシャーに押し潰されそうな日もあったけど、僕は自分自身に負けたくないと気持ちを奮い立たせた。結局はそうやってどこまで努力できるかなんだ。何があってもやり遂げるんだ、という気持ちだった」 サンダーでの彼は、ギディーに代わってシェイ・ギルジャス・アレクサンダーとバックコートを組み、まずは激しい守備でチームディフェンスを引っ張ることが期待される。リーグ屈指のディフェンダーである彼は、そのことの誇りをこう語る。「ドラフトで指名されず、試合に出るために何をすべきかを考えた結果がこのスタイルなんだ。ディフェンスを頑張り、プレータイムを6分から12分、その先へ伸ばしていく。時には失敗し、時には成功したけど、失敗した時にはミスから何が改善できるかを学ぶ。そこで身をもって学んだのは、ディフェンスでチームの負担にならなければ、そして頼れるディフェンダーになれば、出番は増えるということなんだ」 今シーズンのサンダーはカンファレンスセミファイナルでマーベリックスに敗れたが、若いチームの急成長は続いていく。その勢いを加速させ、経験を持ちこんでサンダーに優勝をもたらすのがカルーソに期待される役割となる。 優勝のために何ができるか。そう問われた彼は「言葉で言うのは、実行するよりずっと簡単だ」と笑った。「そこには多くの要素が絡むけど、結局は日々努力を重ねることが一番大事なんだ。僕はレブロン・ジェームズやラジョン・ロンド、ダニー・グリーンと一緒にプレーして、彼らの日々のルーティーンを見て、勝ちたいという意識がどれだけ強いかを学んだ。必要なのは野心だよ。トップに立ちたければ毎日偉大な存在でいなければいけない。プレーオフだけ頑張ればいいわけじゃなくて、むしろその逆だ。偉大な存在であることを当たり前にする、そういうライフスタイルを作らなきゃいけない」 新シーズンに向けた始動はまだ先となるが、カルーソはその時を楽しみにしながら、新たなチームメートのプレー動画のチェックに余念がないそうだ。カルーソを補強したサンダーは、『成長』から『勝利』へとギアチェンジして、さらに勢いを増すはずだ。