【大人のための至福のホテル案内】グラマラスなデザインでNYを席巻「ウォーレン・ストリート・ホテル」
ポップな壁紙にアート作品が飾られたエレベーターを降りて客室に入ると、目に飛び込んでくるのが美しくて大きなベッドボード。壁紙、照明、カーペット、カーテンがベースとなる色やテーマをもとに多種多様なモチーフが散りばめられている。一見するとバラバラに見えるクッションとソファーのファブリック使いも、よく見ると不思議と統一感がありキット・ケンプのセンスの良さが伝わってくる。各部屋に置かれているトルソー(マネキン型)は、それぞれの部屋のデザインを象徴していると同時にファームデールホテルズのロゴでもある。 様々な色と柄に彩られたウォーレン・ストリート・ホテルは、オープンして半年足らずでミシュランガイドのホテルセレクションで1キーを獲得している。ミシュランキーを手繰り寄せたのは総支配人ニック・ハムディ(Nick Hamdy)氏の存在がある。ハムディ氏は、ニューヨークにある他の2つのファームデールホテルズ、ミッドタウンの「ザ・ウィットビー・ホテル(The Whitby Hotel)」、ソーホーの「クロスビー・ストリート・ホテル(Crosby Street Hotel)」の総支配人、副総支配人を経験しているが、その2つのホテルがミシュランホテルセレクションにて最高位の3キーを獲得している。3キーを獲得したのは全米で11のホテル。そのうちニューヨークは、わずか4つのホテルだけに与えられた栄誉だ。
心暖まるホスピタリティを提供するハムディ氏の仕事の原点は、祖父がホテルの総支配人だったことだという。「子供の頃、夏休みになると祖父のホテルに遊びに行きました。お客様、スタッフ、多くの人がいて、その人々の中で過ごすことがとても心地良かったのです」。14歳になると人の役に立ちたいと自転車で新聞配達の仕事を始め、15歳でレストランのキッチンスチュワードに、16歳でデザートワゴンの担当へと昇格していった。ケンブリッジ大学でフランス語とドイツ語を学び、卒業後にファームデール・ホテルの幹部候補生プログラムにチャレンジ。トレーニングの2年間はレストラン、フロント、宿泊など様々な部署で研修を続け、レストランマネージャーとして本格的にキャリアをスタートする。その後、ロンドンの「シャーロット・ストリート・ホテル」の総支配人を経験してからニューヨークに渡り、前出の2つの姉妹ホテルの要職を経て、ウォーレン・ストリート・ホテルの総支配人となった。海外のホテルにおいて総支配人の多くはホテルスクール出身者が多い中で、ハムディ氏はファームデールホテルズ一筋だ。 ハムディ氏が大切にしていることがゲストとのコミュニケーションだ。「可能な限り朝食の時間にレストランに行きます。朝食の時、ゲストに挨拶をして話をすることで、ゲストの人となりや体調、食事の好みがわかりますから」と答えてくれた。 ホテルがオープンしておよそ6ヶ月、現在の状況について「お陰様で好調なスタートだと思います。すでにジャーナリストやリピーターのお客様からの予約も多く、ホテルの在り方がお客様や地域に受け入れられていることを感じますが、同時にホテルのアイデンティティを一つ一つ積み重ねています。例えば、ニューヨークは秋から冬が本格的なシーズンです。様々なセクションを束ねて、初めて迎えるシーズンに向けて毎日が大切な準備期間と感じています」。