“床上70センチ”の被害! 西日本豪雨で実家が被災した元NHKキャスターの「離れた親」との実録
温暖化の影響か、近年猛威を振るっている「水害」。 ▶︎すべての写真を見る
その被害の実態と対策法を知るべく、2018年の西日本豪雨で島根県の実家が被害に見舞われ、その後に防災士の資格を取得したフリーアナウンサーの小笠原知恵さんに当時の状況を振り返ってもらった。
たびたび氾濫してきた中国地方最大の河川
2018年6月28日から10日間で、死者223名という甚大な被害をもたらした西日本豪雨。小笠原さんは当時、NHK松江放送局の浜田支局に勤めていた。 実家がある島根県江津市桜江町には、中国地方最大の一級河川・江の川(ごうのかわ)が流れており、島根県ではこの水系による浸水被害が発生した。 「実家から江の川までは、田んぼと畑を挟んですぐ。昔からたびたび氾濫してきたことは知っていましたが、子供の頃は姉弟で川遊びをしたり、父親と鮎釣りに行ったりした、すごく親しみのある川です。 当時、実家付近の川岸には堤防ができていましたが、町内にはまだ堤防のない地帯も多く残っていました」(小笠原知恵さん、以下同)。 江の川に堤防が造られたのは1972年と1983年の水害がキッカケだった。 「このとき私はまだ生まれていませんが、実家が水没して大変だったと聞いています。水害の跡は今も看板などで街に残されていて、JRの駅には浸水した高さが記されていました。小学生の身長くらいは軽く超え、見上げる高さにあったと思います」。
「堤防があるからうちは大丈夫」のあとに押し寄せた水
江の川が氾濫したのは7月7日の深夜0時過ぎだが、前日の晩には広島県で大雨特別警報が発令されていた。 ここからは島根県江津市に発令された情報とともに、当時のことを振り返ってもらう。 7月6日(金) 午前 大雨警報 20:45 避難勧告発令 「ニュースで大雨警報が流れたとき、私は浜田市の自宅にいました。そこから実家のある江津市までは、車で1時間ほどの距離。島根も大雨でしたが、上流の広島の雨量がすごくて、そこから下流の島根に流れて溢れ出したんです。 実家は平屋建てで、両親と当時95歳の祖母が3人で暮らしていました。当日、父は地元の消防団として見回りなどの対応をしていたため、家にいたのは母と祖母のふたりでした。 この日の晩には避難勧告(現在の高齢者等避難)も出ていたのですが、母の反応は『堤防があるからうちは大丈夫よ』と悠長なものでした。1983年以来、堤防ができて水害に遭っていなかったから安心していたんだと思います」。