メリットは「リスク分散」以外にも…投資家が手元に〈現金〉を残しておくべき理由【株式投資のプロが解説】
株式投資を行う際、手元には一定以上の現金を残しておくことが重要です。株価下落時には総資産減少の歯止めになり、そうした局面で株を買うこともでき、私生活で大きな買い物が必要になったとき、そのままそれを使えるためです。本稿では株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、株式投資家にとっての「現金」の重要性について解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
株価下落時に総資産減少の歯止めになる
株式投資を行う際、手元に一定の現金を残しておくことは、相場下落時に総資産減少の歯止めになるためとても重要です。例として、1,000万円の資産の内訳が株700万円+現金300万円のパターンAと、株のみで1,000万円のパターンBとを比較してみましょう。 スタート時点では当然、AとBのいずれも保有資産額は1,000万円です。 パターンA:株700万円分+現金300万円=総資産1,000万円 パターンB:株1,000万円分のみ=総資産1,000万円 その後、株価が下落して株の評価額が10%減ったとすると、資産状況はどうなるでしょう。 パターンA:株630万円分+現金300万円=総資産930万円 パターンB:株900万円分のみ=総資産900万円 株の下落幅は同じ10%ですが、株のみのパターンBの資産額は10%減となった一方、パターンAは7%減で済みました。当然ながら現金を残しておいたパターンAの方が、総資産の減少率を抑えられるのです。ただし、パターンAはリスクと同様、リターンも抑制してしまうことを忘れてはなりません。つまり、株価の上昇によって得られる利益率もパターンAのほうが低くなるということ。 言い換えれば、パターンAはパターンBと比較してローリスク・ローリターンであるといえます。 どちらにもメリットとデメリットはあるものの、資産のすべて株式というパターンBのような配分は、結論としてはやはり危険だといえます。株式投資には株価の下落リスクが常に伴うため、一定以上の現金を残し、相場変動に伴うリスクを分散させておくことが重要だといえるでしょう。