日本男子バレーはなぜリオ五輪出場権を逃したのか
世界最終予選を2試合残した時点で、日本男子のリオ五輪の道は断たれた。中国、ポーランド、イラン、豪州の4か国に敗戦。特に悔やまれるのは、セットカウントをタイに持ち込める寸前だったアジア最強のライバルであるイランとの一戦である。 豪州戦ではエース、石川が右足首を痛めて、第2セット途中からコートに立てなくなった。強化委員長は「高さとパワー不足」を敗因とし、今大会限りで退任の方向の南部監督は、「サーブ力の差」と「狙われたウイングスパイカー陣が受け身になっていた」と、石川をサーブで徹底して狙われていたことを力が出し切れなかった要因のひとつだと反省した。 昨年のワールドカップで躍進した日本男子は、なぜ五輪出場を果たせなかったのだろうか。 「イラン、豪州戦と2つとも勝てたのにもったいない。チームは持てる力の50パーセントも出せなかった。選手は悔やみきれないのではないか」と語るのは、元全日本のエースで北京五輪代表の山本隆弘氏だ。 「イラン戦では、サーブでターゲットを狙えていたし、日本はいいバレーをしていた。しかし、最後までイランの攻撃を絞ることができなかった。確かにデータを見てもイランは均等に散らしていたし、真ん中の攻撃をうまく見せていたが、そこは捨ててサイドをマークすべきだったのではなかったか。 高さで勝てないのだから、どこかでプレッシャーをかけなきゃいけなかった。チーム全体の方向性として、『ここは捨ててOK』、『ここは止めよう』と、ブロックの駆け引きにおいて割り切りができていなかった」 戦略の不徹底。 サーブで崩せなかったため、イランの攻撃パターンに大きな偏りが出なかったのだが、山本氏は、チームとして狙いを決めてブロックを仕掛けるべきだったという意見を持つ。高さとパワーで勝てない日本は、ブロックの的を絞るというトータルディフェンスでボールをつなぐしかなかったが、思い切りのある戦略に欠けた。 この試合も、石川がサーブで徹底して狙われ、バックアタックなどの攻撃の芽を潰されていた。日本は、局面によって石川にレセプションをさせないシステムまで使ったが、山本氏は他に対策はあったという。 「ワールカップで活躍した石川がマークされ、狙われるのは予期されたこと。石川はスパイクを打った後の着地で、体勢を崩すなど不安定さが目立ったが、サーブでプレッシャーをかけられ、スパイクに入る動作を遅らされていた。石川は、きっちりとセッターへボールを返すことにこだわりすぎたため崩され、それが目に入るセッターは、石川にトスを上げ辛くなっていた。ただ石川をレシーブから外すとフォーメーションが崩れる。守備範囲が変わると米山にも負担がかかるので、あまり極端にはできない。石川は、綺麗にセッターへ返すことは考えず、直接の失点をなくして、とりあえず上にボールを上げておくという意識で良かった。スパイクまでもっていければ、そのリバウンドをレセプションの1本目と考え、そこからAパスを返して攻めればよかった」