日本男子バレーはなぜリオ五輪出場権を逃したのか
イラン戦では16本のブロックを決められた。第1セットではイランの5本に対して日本のブロックポイントは0本。被ブロック率の高さが目についた。豪州戦では、勝負所でエドガーに2連続サービスエースを決められるなど、不調が噂されていた相手のエースに自由自在にやられた。 「豪州戦でも、サーブはターゲットを狙えていたが、相手の攻撃枚数を減らすまでには至らず、エドガーには万全のジャンプでない状態でもスパイクを決められていた。ブロックで吸い込んだ場面もあった。あれをきっちりと抑えていれば、勝てたかもしれない。 日本のジャンプフローターサーブに対して、豪州は陣形を前にして、きっちりとオーバーで対応された。もっとスピードを上げ長く打つとか、胸元をつく工夫をすれば、相手は下がるか、さらに前に出るしかなく、揺さぶることができたのだが。質の高いサーブは上から下に落ちる、そういうボールは簡単にオーバーでは返せないのだが、日本のサーブは下から上に動いてから落ちていた。威力がなく、ボールに重さがなかった」 最後の最後まで、日本のサーブは課題のままで終わった。ジャンピングサーブも、ジャンピングフローターのいずれも、世界のトレンドに比べて日本のそれは球威も精度も物足りなかった。 また日本のもうひとつの武器だったはずであるスピード、多彩なコンビバレーも冴えなかった。 豪州戦の第1セットでは米山のバックアタックで19-18とリードを奪い、第2セットで起用されたセッターの関田も、少なかったミドル攻撃をうまくからめたが、状況を激変させることはできなかった。 山本氏も、その点を挙げた。 「例えば、米山のバックアタックにしても、打てるわけだから、もっと使ってよかった。ミドルの使い方にしても組み立ての中でトスの低さが目立った。もっと精度を上げて完璧なバレーをしなければ勝てない」 今大会では20点以降で逆転されるケースが目立った。イランの第3セットは20-17から追いつかれ、ジュースにもつれこんだ末に25-27と粘り負けた。豪州戦も第1セットに19-18から23-25と逆転され、右足首を痛めた石川をコートに送り出せなかった第3セットも20-18から23-24と逆転された。紙一重ではあるが、終盤に弱いのは実力の差なのか、それともメンタルの問題なのか。 山本氏は、「中国戦に負けて、もうひとつも負けられない状況に追い込まれ、勝ち急いだ。苦しい状況で勝負しなくてもいいところで勝負して、ことごとくブロックされたり、ミスしたりすることが多かった。もっと粘りながらチャンスをうかがうべきだったと思う、イランはバテていた。粘って長い試合をすれば、日本にチャンスが巡ってきたのに、逆に日本が勝ち急いでいた。チームメンタルの問題だ」と指摘する。