母のガンに「謎の水で治る」と力説した妹。医師家庭で1人学歴コンプレックスがあった彼女が、なぜトンデモ商売に走ったか
詐欺だと知った母と娘は
「一応、入院、手術、抗がん剤と治療はひととおり終わっていたので、それだけは幸いでした。母は、こういうのは妹の気持ちだから害はないだろうと言い、勧められるままに使っていました。 母には妹を不憫(ふびん)に思う気持ちもあるのだと思うのですが、私たち兄妹からは、すごく甘やかしているように見えるんですよね。妹だけに、車やマンションを買い与えたり」 真子さんの実家は資産家で金銭的にはそうそう困らないようなので、そのゆとりもあるのだろうか。母は壺や石といった高額の品も、妹が連れてくる「すごい先生」から買っている。あとから霊感商法の詐欺だったことを自覚しても、妹と母は「騙されたねー」とあっけらかんと笑っているのだ。
いちばんの心配は健康被害
しかしそれは、取り返しのつくもの(真子さん実家にとってはわずかな金)だからだろう。妹がマルチ商法にハマって以降、健康食品の過剰な摂取で母の体調が悪化したのは、真子さんにとって背筋が凍る出来事だった。マルチの健康食品で、回復不可能なほどに健康を害したら? 真子さんは、妹がたびたびマルチ商法へ勧誘してくることから、ここ最近は距離を置いていたが、先日、マルチ商法トラブルのあるニュースを見たのをきっかけに「最近は何をしているんだろう」とSNSをチェックした。 すると、驚きのイメージチェンジをしていた。 「スピリチュアルビジネスをはじめていました。遠隔ヒーリングや、各種占い。霊的な能力開発セッション。 妹のプロフィール写真はダンサーのようなすごいメイクで、卑弥呼のコスプレにジュエリーを盛り付けたかのような、ど派手なものに変わっていました。学歴も、ただの聴講生だったハズの有名大学を、卒業したかのように盛っています。何も知らずにこれを見たら、さぞかし海外で活躍してきた人に見えるでしょうね」
「人間関係の相談、乗ります」
SNSで確認できた妹のスピリチュアルサービスは、縄文ヒーリング、波動を調整する古代文字グッズ、チャクラ開放講座etc…… なかなかに強気の価格設定で、メニューが表示されている。一体、客はどれくらいいるのだろう。 「なかでも私が目を疑ったのは、得意分野が人間関係、恋愛相談とあったこと。否定されると激高して泣き叫びSNSに罵倒と誹謗中傷を書き込み、ときには得意の占い分野で“呪う”とまで脅す妹が人間関係相談……。どんなに迷惑がられても、マルチの健康食品をすごい圧で押し付けてくる妹が人間関係相談……。真に受けて相談に来た人が、困ったことにならないといいのですが」 妹のスピリチュアル商売には、当然マルチの健康食品も合体されている。ヒーリングを施しつつ、セルフケアにとサプリメント等を勧めるのだ。 真子さんも過去さんざんそうされてきたように、「子どもの不調を改善するにはこの商品!」などのアドバイスが混ざりこむのも、容易に想像できてしまう。