酸素の乏しい岩石惑星は「地球外微生物への近道」となるか
地球に人間を含めた生命が存在する理由と経緯をめぐる議論には終わりが見えないが、太陽に似た別の恒星を公転する惑星が初めて発見されてからまだ30年足らずだということを思い出す必要がある。地球からわずか50光年の距離にあるこの太陽系外惑星ディミディウム(ペガスス座51番星b)は、いわゆるホットジュピターで、木星の約半分の質量を持ち、約4.5日という驚くほど短い周期で主星を公転している。 1995年のディミディウムの発見は、惑星科学界を震撼させた。だが今日では、このようなホットジュピターの検出は、かなりありふれたことになっている。それよりも現在の強い関心は、微生物やさらに進化が進んだ生物が生息する可能性のある地球質量の惑星の探索に向けられている。 惑星の生命存在可能性の解析には、多くの不確定要素がある。惑星の特定の質量、主星からの距離、大気の組成、地球のプレートテクトニクスのような一種の地球物理学的なリサイクル活動が惑星に存在するかどうかなどだ。プレートテクトニクスは、地球のマントルの上に浮かび、衝突している20枚もの固い構造プレートの運動によって地球の外殻が包括的に制御されているとする説のことだ。 最終的に、生命を探す場合には、地球のように酸素が豊富な大気を持つ惑星を見つける方が得策なのだろうか。あるいは、還元性の大気、すなわち水素やメタンが優勢で、通常は酸素をほとんど含まない大気を持つ惑星を探す方がよいのか。 これは最近、デンマークのコペンハーゲン大学で開かれた「特異な惑星の特異な生物種?」と題した会議の席上で、第一線の若手の宇宙生物学者に対して投げかけた質問のうちの1つだ。 独ベルリン自由大学の惑星地球力学者のレナ・ノアクは、コペンハーゲン大での取材で、太陽系外惑星科学に関しては、まだ創成期にあると語っている。 ノアクによると、より質量が大きい惑星ほど、大量のガスを降着させた可能性があり、初期には、すぐに除去されないような非常に濃密な原始大気を持っている可能性がある。従って、生命を探索するために最も効果的な場所の1つは、地球の約1~3倍の質量をもつ岩石質の系外惑星だろうと、ノアクは指摘している。 今日の地球は、非常に酸化性の高い大気を持っているが、地球上の生命は最初、還元性の大気中で進化した。 生命が始まる可能性のある生息環境の最適の候補地を探す場合、自分なら、おそらく地球より少し質量が大きく、より還元性の高い大気を持っていると思われる惑星を見つけると、ノアクは話している。 ■単純な生命 一般に生命、特に単細胞生物の起源に関しては、還元性の大気の方がはるかに興味をそそられると、ノアクは話す。還元性の条件下では、アミノ酸のような生命前駆物質がより多量に蓄積する可能性があり、より安定化するという。