東北大病院、土曜のみの放射線治療開始へ 前立腺がん対象、国内初の試みで患者の利便性向上
東北大病院(仙台市青葉区)は来年1月、前立腺がん患者への毎週土曜の放射線治療を始める。平日に仕事があったり、遠方で暮らすために通いにくかったりする患者の利便性向上が目的で、土曜のみの放射線治療が可能になるのは全国の病院で初の試みという。 がんの放射線治療を行う「MRリニアック」を使って来年1月11日に始める。治療は予約制で1回約40分。週1回、土曜のみの計2回の通院で終了する。1日最大7人程度の患者を受け入れる。 前立腺がん患者への放射線治療はこれまで、平日限定で行っていた。治療は6~8週間続き、患者はほぼ毎日通院しなければならなかった。 2021年に東北の病院で初めてMRリニアックを導入したことで、治療環境は大幅に改善された。装置は磁気共鳴画像装置(MRI)との一体型で、高画質のMRI画像をリアルタイムで取得し、腫瘍へ正確に効率よく放射線を当てられるようになった。 これにより、放射線治療は1日おきの計5回に減少。さらに臨床試験を重ねた結果、1週間おきの計2回に減らせることが判明した。平日の治療についても、今後計2回にするという。 厚生労働省によると、前立腺がんは男性で最も罹患(りかん)者が多いがんで、20年には約8万7000人が診断された。進行はゆっくりで、比較的抑え込みやすい特徴がある。 病院は今後、他のがんについても有効性が確認できれば土曜治療への対象にすることを検討する。神宮啓一放射線治療科長は「地方に住み、最新の治療を受けるのが難しい高齢者らがいる。地域格差をなくすような機会にしたい」と話す。 予約は紹介状が必要で、かかりつけ医への相談を呼びかける。
河北新報