エアブラシ使いこなしのポイントはとにもかくにも塗料の濃度!【達人のプラモ術<エアブラシ編>】
◎水性塗料の希釈率
近年、進化が著しい水性塗料ですが、やはりメーカーによって特性が異なるため、一概に希釈率が決められません。 近年内容が刷新された新「水性ホビーカラー」の希釈目安は、塗料1に対して水性ホビーカラーうすめ液1とメーカーが指定しています。実際の使用でも1:1がベストです。 同カラーは水でも希釈できると謳っていますが、エアブラシ塗装にしても筆塗りにしてもオススメしません。乾燥が遅くなり、またプラへの塗料の食い付きも悪くなってしまいます。専用の水性ホビーカラーうすめ液の使用がエアブラシでの安定した塗装面を仕上げる大前提となります。またコンプレッサーのエア圧は0.08Mpa前後が良いでしょう。
◎タミヤ アクリル塗料ミニ
国内で販売されている水性塗料(水性アクリル)の定番といってもよく、艶あり、艶消しともに色数も多く、広く愛用されています。 希釈に関しては専用の「アクリル塗料溶剤」を使用。エアブラシでのメーカー推奨の希釈率は、塗料1に対し溶剤1となっています。ただし達人的には【塗料4:溶剤6】とメーカー推奨値よりやや薄めに希釈しています(艶あり塗装では1:1で使用)。ただし水性アクリル塗料は希釈が過ぎるとムラになりやすく、また垂れやすくもなってしまいます。
◎ファレホの希釈に関して
国内でもすっかり定着した感のあるファレホは、スペインで生まれた水性アクリルカラーです。水だけでも希釈できるのですが、専用のシンナー「エアブラシシンナー」が用意されています。 とはいうものの、ファレホはラッカー塗料のような感覚でうすめ液を多めに使うのはNGです。ファレホ1に対してエアブラシシンナー0.5くらいがベスト…のはずなんですが、ファレホ特有の乾燥の速さがアダになって、エアブラシのニードル先端に顔料が固まり、詰まりが発生することが多いのです。また薄めすぎるとムラになり定着性が悪くなります。ファレホをエアブラシ使用する場合は、まず今までの水性塗料の希釈率を忘れてください。 エアブラシの詰まりトラブルを防ぐためには、エアブラシシンナーにフローインプルーバーという液体を添加することで、エアブラシの詰まりを抑えられます。混合率はエアブラシシンナー3に対して1程度の割合です。公式に表記されている精製水は使わなくも大丈夫(筆塗りの場合は精製水のみでもOK)。またコンプレッサーを0.09Mpaと高めに設定することで、より目詰まりを防げます。 というわけで、エアブラシ塗装のキモは塗料の希釈にあるんですね。 文章にすると難解に感じてしまいますが、そう難しいものでありません。エアブラシの口径、塗料の種類、どんな仕上げを求めるかによっても応じて希釈率を変えていく必要があります。 次回はエアブラシのトラブルレスキューをお送りします。乞うご期待!
<写真・文/長谷川迷人>