尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」
代々木上原に住んで十数年。この街の好きなところはたくさんありますが、「デルタ(DELTA)」という信頼の置けるセレクトショップがあることもその1つ。周りの業界関係者から「今、尖った服が売れる店」として「デルタ」の名前が挙がることも珍しくありません。商品ラインアップのセンスはさることながら、サステナビリティ分野の担当記者である自分の社会的な正義感とファッションを楽しみたい気持ちを心置きなく発散させてくれる店でもあるんです。同店は今年で20周年を迎えます。そんな節目にオーナーの大倉綾さんに「尖った服が売れる店」の強さの秘訣やフィロソフィーを聞きました。 【画像】尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」
仕入れの基準は服を通してデザイナーの哲学が見えるかどうか
「デルタ」は当時27歳だった綾さんが、夫の有記さんと一緒に東北沢に5坪の店舗をオープンしたのが始まり。綾さんは学生時代スタイリストを目指して文化服装学院を卒業しますが、実際にスタイリストの仕事で食べていくのはいばらの道。知り合いのブティックなどで販売員としてキャリアをスタートさせます。当時のお客さんから「あなたがお店を出したら通うわ」と言われたことに背中を押され、夫の有記さんと一緒に起業。2004年に東北沢に出店し、08年に現在の場所へと移転しました。
白を基調にした店内は、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)大丸京都店などを手掛けた建築家の永山祐子氏による設計です。以前はラグジュアリーブランドも扱っていましたが、今は「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」や「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」「ハトラ(HATRA)」など国内ブランドが中心。顧客層は女性を中心に、20代~50代までと幅広い。業界関係者以外にも、医療関係やクリエイター、SEなどさまざまな職業の人が訪れるそう。
「業界関係者にはよくカテゴライズしづらい店と言われますが、商品はあらかじめテーマを設けたり、スタイリングを想定したりすることもなく自由な感覚で仕入れています。お客さまもブランドにこだわりがなく、その自由さ楽しんでくれている方が多い。大事にしているのは、デザイナーの哲学や人柄が服を通して見えることです」と綾さん。