メンバーが揃わない巨人 V4危機か?
こういう周囲の巨人V4危機説に真っ向反対するのが、千葉ロッテを昨年オフに引退した里崎智也氏だ。 「シーズンのトータルで考えると開幕ダッシュをして尻すぼみになるよりも終盤を意識した尻上がりの年間マネジメントをした方がいい。ピンチはチャンスという言葉があるが、開幕にメンバーが揃わないなら逆に新戦力や若手を試しやすい。例えばルーキーの高木が結果を出せば、プラスのチーム戦力となり、メンバーが揃い始めた頃には、チームに厚みが増していることになる。元来戦力のないチームならば、開幕ダッシュは重要だが、巨人のようなチームは、それができなくとも大きなマイナスポイントにはならないだろう。昨年は菅野が終盤に離脱して日本一を奪えなかった。日本一奪回がテーマなら、なおさら終盤に戦力を整えるべきで、開幕時点の不安は不安ではないと見ている」 この日、著書の出版サイン会のため、千葉マリンを訪れていた里崎氏は、「例えば、この日のスタメンで今の時期に必死に結果出してアピールしなければならないのは松本哲、亀井、中井くらい。あとのベテランは、オープン戦の結果は関係ないから、今の結果で巨人がピンチとするのは早計だ」と言った。 阪神DCで評論家の掛布雅之氏も巨人危機説どころか巨人脅威説の支持者だ。 「こういうときの巨人こそ怖い。ここに長野、村田、アンダーソンと揃ってくるわけだし、143試合で考えれば、今の段階でのチーム不振など問題ではないだろう。この前、甲子園で会ったときに、原監督は『内海、杉内、阿部、村田に頼らないチーム作り』を強調していたが、私は、それは、この4人は放っておいてもやってくれるという信頼感の裏返しに聞こえた。おそらく一塁に転向した阿部が4番に入るのだろうが、捕手という大きな負担のなくなった阿部の打棒は復活すると思う。巨人のように野球を知っているチームが一番怖いのだ。単純な戦力比較で順位は決まらない。巨人は勝ち方を知っているチーム。広島を優勝候補の筆頭に挙げる人が多いが、私は阪神と巨人のv争いになると考えている」 ちなみに掛布氏のセ・リーグの順位予想は、1位から阪神、巨人、広島の順。 巨人のV4危機説を否定した里崎氏の方の優勝予想は広島だという。 「巨人のマイナス要素は、阿部の一塁コンバートが、その理由。故障のリスクを減らそうと減量して臨んでいるが、それが成功するかどうかは、未知数だし、阿部を一塁で使うことによって、8番キャッチャー、9番ピッチャーと、相手バッテリーからすれば、2つのアウトを計算できる打線の切れ目ができてしまう。小林がよほど打てば別だろうが」 識者の声は、意外と巨人のV4危機説に否定的ではあるが、現場を預かる原監督にすればオープン戦でなんらかの形が出てこないと気が気でないだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)