JAXA吉川真さんが語る 日本航空宇宙学会「ジュニア会員制度」とは?
■次世代を担う若手の育成を目指すJSASSジュニア会員制度
──次世代のミッションには、いま勉学に励んでいる10代の若い人たちが関わることになるかもしれません。JSASSのジュニア会員制度はまさにその年齢層に向けた取り組みとなるわけですが、どのようなねらいがあるのでしょうか。 吉川:JSASSのジュニア会員制度は航空宇宙分野の将来を担う若手の育成を目的に、若い人たちにどんどん関心を持ってもらうという趣旨で2022年にスタートしました。2023年8月の募集開始当初は満16歳~満20歳が対象でしたが、2024年度からは中学生にも拡大して満13歳~満20歳が応募できるようになりました。今は高校生を中心に60人くらいが参加しています。 ──中学生ということは大学進学までだけでも最長6年間参加できることになりますね。どのようなメリットがあるのでしょうか。 吉川:航空・宇宙分野の最先端で活動している研究者と交流できることが大きなメリットです。まだ始まったばかりの制度ですが、ジュニア会員向けの講演会などのイベント実施も検討しています。また、2024年11月に開催される第68回宇宙科学技術連合講演会(宇科連)ではジュニア会員向けの企画としてジュニアセッションが設けられていて、航空や宇宙に関連して調べたことや研究したことを発表することができます。 費用負担を抑えられることもメリットです。ジュニア会員は会費が無料ですし、学会にも無料で参加できます。学会誌は送付されませんが、電子版の学会誌をオンラインで無料で読むことができます。第68回宇科連のジュニアセッションも、ジュニア会員なら無料で参加できます(※ジュニア会員以外も参加可能。ただし、代表者はジュニア会員である必要があり、ジュニア会員以外の参加には参加登録料が必要)。
──こうしたジュニア向けの制度はJSASS独自の取り組みなのでしょうか。 吉川:日本天文学会では中高生を対象としたジュニアセッションに25年前から取り組んでいます。2000年4月に開催された第1回以降、各年の発表件数はピーク時には80件を超えましたが、2019年以降は50~60件で推移しています。ただ、日本天文学会にはジュニア会員の制度はありません。 また、2024年4月に開催されたJSASSの学会では、同じようにジュニア会員やジュニアセッションに取り組んでいる電子情報通信学会、情報処理学会、日本物理学会、日本機械学会、そして日本天文学会に集まってもらい、次世代育成の課題についてのパネルディスカッションを6学会で行いました。 ──最後に、JSASSのジュニア会員制度に参加してみたいと思っている皆さんにメッセージをお願いします。 吉川:今年度からはJSASSでもジュニアセッションが始まります。発表内容のレベルは問いませんので、航空や宇宙について自分で調べたことなどをどんどん持ってきていただき、研究者の発表を聞くだけでなく直接対話をしてほしいと思います。 ──研究者と交流できるという大きなメリットを存分に活かして、将来の宇宙探査や宇宙開発を担う人材に育ってほしいですね。今日は貴重なお時間を割いていただき本当にありがとうございました!
sorae編集部