暗号資産は2024年、ICOブームの汚名を払拭する
アクセスの民主化
流動性の低い資産の多くは、その値動きから利益を得ることができる選ばれた一部の人以外には門戸が閉ざされ、そのような機会は裕福なインサイダー集団にだけ提供されていた。 トークン化により、こうした参入障壁が取り払われ、バックグラウンドに関係なく、事実上誰でも(たとえ分割ベースであっても)投資の恩恵にアクセスできるようになる。 また、以前は存在しなかったまったく新しい資産クラスが創出されることで、新たな機会が開かれる。ICOブームの頃、ウォール街のインサイダーがプライベート・エクイティやベンチャー取引にアクセスできるのと同じように、ICOによってあらゆる人がアーリーステージの投資に参加できようになるとプロジェクト創設者や専門家が主張したことを覚えているだろうか? それはおおむね不正確で、トークンが暴落したときに多くの人がすべてを失うことになった。 実在する有形の現実資産(RWA)の価値に裏打ちされたトークンに投資することで、最悪の場合でも保有者は、現実資産そのものかその現金価値でトークンを換金できるはずだ。もちろん、これには原資産の真正性を確認するための外部監査が必要だろう。 しかし、ホワイトペーパーや、実質的に説明責任のない偽名のチームが確かな製品を作ってくれると盲信することとは大違いで、理論的にはICOやNFTで人々が手にしたよりも良い結果が得られるはずだ。
次なる大きなフロンティア
少なくとも私が暗号資産に携わってきた2015年以来、人々はアートと不動産のトークン化について議論してきた。 これらのプロジェクトのほとんどは、関心の低さからトークン化する実際のRWAの不足に至るまで、さまざまな理由でまだ大きな関心を集めていない。しかしこの1年で、この分野での技術イノベーションの量は、これまでのすべての年の合計を上回っている。 確かに、金や銀のような流動性の高い商品をトークン化することは、資産をオンチェーン化できることを示すPoC(概念実証)としては理にかなっている。 しかし、これまで不可能だった方法で資産へのアクセスを可能にする、まったく新しい市場を創造する真の機会が存在する。 例えば、あるコモディティの買い手は、先物を作ることを可能にする現物(スポット)市場がないため、将来の価格変動に対してヘッジすることができないというシナリオを考えてみよう。 その資産に現物市場が形成されれば、先物を作ることができ、カドミウムのような資源を消費する産業は、航空会社がジェット燃料の価格変動を管理して長期的なコストを平準化するのと同様に、より予測可能なコスト管理を行うことができる。 現実資産(RWA)のトークン化によってもたらされる機会は、あらゆる投資家や市場参加者におよび、アクセスしやすく、透明性が高く、そして最も重要なことに、現物市場でより効率的に価格決定が可能な資源に対してRFP(提案依頼書)を発行するよりも大幅に改善された、まったく新しい機会を創出する。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Conny Schneider/Unsplash(CoinDeskが加工)|原文:Next Year Crypto Will Wash Away the Stains of the ICO Boom
CoinDesk Japan 編集部