なぜ連覇を狙った体操団体戦で日本代表は0.103差で金メダルを逃したのか…気になる疑問をオリンピアンに聞く
――4人全員が五輪初経験。内村航平のような求心力のある選手がチームにいなかったことが金を逃した原因ではないかという声もある。 「まったく関係はないと思う。むしろ何も怖いものを知らない若い選手の勢いが五輪というガチンコ勝負には必要だ。2度目の出場になるといらないプレッシャーが増えるもの。ただROC、中国は、こういう世代交代をリオ五輪の後に行っていた。日本は少し遅れた。リーダーに関しては五輪経験のある指導者、スタッフがいて周りでカバーできる。選手はやるだけ。私がアトランタ五輪に出たときは、会場がジョージアドームでアメリカチームと同じ組になり地鳴りがしていた。今回は無観客で歓声もない。逆に言えば集中しやすい環境にあった。これも全体的にミスが少なかった要因だったのかもしれない」 ――今回ルールがメンバー5人で3人演技から4人で3人演技というものに変わった。それでもROCはデニス・アブリアジンというつり輪のスペシャリストを入れて15.033点を取った。日本は4人が全員オールラウンダー。スペシャリストを入れるべきだったか? 「チーム編成的にスペシャリストを入れるとベストの得点は上がるが、他の選手への負担が増す。今回から同じ国が3人続けて演技を行うのではなく、交互の演技となり多少休む時間はできたが、緊張感がプラスされると疲労度はかなりある。加えて怪我のリスクもある。そう考えるとチームとしてはバランスが取れていた。ベストの構成だったと思う」 ――この経験がどう生きるか? 「勝っていてもおかしくなかった。選手たちは鉄棒で橋本選手が最高の演技を見せたとき勝ったと思っただろう。選手たちが一番悔しいのだ。”あそこを踏ん張っていれば”と反省しているだろうし、0.1を埋めるために何をしなければならないかも選手が一番わかっている。中国には勝った。0.1の悔しさを0.1まで迫ったという自信に変えてもらいたい」 ――パリ五輪では金メダルを取れるか? 「十分に可能性があり楽しみだ。貴重な経験を得た橋本選手、北園選手の10代の2人がチームを引っ張ってくれるだろう。まだまだノビシロがある。そこに萱選手、谷川選手が食らいつくのか、それとも、さらに若い世代が押し上げてくるのか。ただROC、中国も3年後にはメンバーが変わってくるかもしれない。いずれにしろレベルの高い戦いが続くだろう」