今季3度目の電撃監督交代で神戸の何がどう変わった?大迫勇也のアディショナルタイム弾で最下位脱出
吉田監督はこの1週間で、選手の頑張りをひとつの方向に集約させた。ロティーナ前監督が標榜したボールを奪われない守備から、ボールを奪う守備へのスイッチ。もちろん、やみくもにプレスをかけるわけではない。試合状況に合わせてブロックを形成する位置を変えながら、ブロック全体をコンパクトに保ち続ける。再び酒井が言う。 「受け身になっていないのは非常にいいと思う。前半から圧力をかけたことが今日の先制点にもつながっているし、そこから自信みたいなものも出てくる。そのためにもコンパクトさが大事になってくるので、低いブロックでも高いブロックでも味方との距離感のよさを意識しなきゃいけない。それが崩れてきたときに相手にチャンスを与えているので、そこを自分たちでしっかりと修正し合いながらやっていきたい」 運命のいたずらか。9日の次節でもひとつ上の16位につけるジュビロ磐田のホーム、ヤマハスタジアムへ乗り込む。勝ち点差は2ポイント。勝てば再び順位が入れ替わり、J2への自動降格圏から脱出できる。中2日という過密日程だが、大迫は「まだまだ前半戦の借りがたくさん残っている」と闘志をかき立てた。 「次のジュビロ戦で3連勝してこそ、この2連勝の価値が出てくると思っている」 今シーズン初の連勝をマークしても、最下位から抜け出しても、J2降格の危機に神戸が直面している状況は変わらない。それでも劇的な勝利は、苦しんできた選手たちを少しだけ呪縛から解放した。戦い方とメンタル面でようやく羅針盤を手にした神戸が、夏の到来とともに本格的な逆襲に転じられるかどうか。磐田との次節で問われることになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)