今季3度目の電撃監督交代で神戸の何がどう変わった?大迫勇也のアディショナルタイム弾で最下位脱出
決勝点をさかのぼっていくと、自陣からDF小林友希(21)が大迫を目がけたロングボールに行き着く。大迫がDF鈴木義宜(29)に競り勝ち、こぼれ球を武藤が拾い、大迫を信じて攻め上がってきた複数の選手が次々と攻撃に絡んでいった。 ボールポゼッションを重視すれば、相手ボールになるリスクが高まるロングボールは御法度となる。それでも大迫が言うように、パス、パス、パスだけでは相手の脅威にはなりにくい。鳥栖との前節でも大迫が投入された後半28分を境にロングボールが増え、同34分とアディショナルタイムに、武藤がともに頭でゴールネットを揺らした。 清水戦では前半8分にMF汰木康也(27)のボレーで先制するも、後半21分にFWチアゴ・サンタナ(29)に決め返された。連戦と暑さで精彩を欠きはじめたキャプテンのMFアンドレス・イニエスタ(38)と、大迫との交代を準備していた矢先の失点だった。 コンディション不良で先発から外れている大迫だが、時間を限定すれば明確な“違い”をピッチの上で生み出せる。吉田監督も「非常に頼もしい」と賛辞を惜しまない。 「前節も今節も特にヘディングのところでは負けていないし、今節は点も取ってくれた。前節は点を取ってはいないが、見えないところでチームに貢献してくれていた」 相手が疲れてきた後半途中で大迫を投入し、ロングボールでも攻め立てる。これが戦い方の変化ならば、メンタル面でも変わってきたとDF酒井高徳(31)は言う。 「サッカーは面白くて、何かのスイッチが常にあると思っている。スイッチはなかなか切り替わらなかったり、あっけなく切り替わったり、ときには理不尽に感じるときもありますけど、僕個人の見解としては日々の準備であるとか、やるべきことをやる、といったものをベースとして持っていればツキは回ってくるし、ツキが回ってきたときに準備できているかどうかで、それをモノにできるかどうかが変わってくると思うので」 ワールドカップ日本代表に名を連ねた経験を持つ酒井が言及した準備とは、三浦淳寛元監督、リュイス・プラナグマ・ラモス暫定監督、そしてロティーナ前監督のもとで神戸がもがき苦しんできた開幕からの戦いに反映されてきたという。酒井が続ける。 「頑張っていない選手はいなかった。それでも結果がついて来なかったなかで、頑張り続けたものがいま、少しずつ自分たちに向いてきたと思う。自分の経験では、こういう状況ではメンタル面の要素が非常に大きくなる。そのなかで自分たちが攻撃的に相手からボールを奪う、相手からゴールを奪う、少しでも相手に圧力をかける、というのが意識として出たことでいいスイッチが入り、チームをちょっと前進させているのかな、と」