なぜホンダ ドリームCB400フォアは今、人気なのか? 絶版旧車ブームの牽引役とも言える人気モデルに迫る
4into1集合マフラーの甲高い排気音
カワニシ:さぁ、試乗してみましょう。オリジナルのシートはフラットなタイプだけど、このヨンフォアのシートは“段付き”タイプに交換されていますね。それとマフラーがショート管に換わっている以外は、ほぼノーマルの状態です。 佐藤:車体は思ったよりコンパクトで乗りやすそうですね。赤い燃料タンクがかわいいし、全体のバランスがすごくいいなあ。 カワニシ:そう、コンパクトでシートも低めなので、女性ライダーからの人気が高いんです。タンクがソリッドカラーでお洒落感があるし。年式にもよるけど黄色や濃紺もあっていずれもポップな感じ。 佐藤:凄く乗りやすかったです! ヨンフォアの価値は知っているから、乗る前は「絶対倒しちゃいけない!」って緊張していたけど、走り出したら楽しんじゃいました。ライディングポジションもほどよくスポーティでよかったです。 カワニシ:ヨンフォアのハンドルは、当時「コンチハン」と呼ばれたセミフラットタイプで、低めのハンドル位置がスポーティでカッコいいと評判だったんです。76年に登場した後期モデルでは、アップハンドル版もランナップされて、2本立てになったのですが。 佐藤:空冷4気筒の“コーン!”という甲高い排気音が気持ちよかったです! 音はYouTubeでめちゃ聴いていたので「この音!」と、 テンションが上がりました。僕のGB350だとトルクがあまりないし、高回転まで回そうとするとリミッターが効いちゃうんだけど、4発は上まで気持ちよく回るし、いい音すぎて周りからめちゃめちゃ見られているのを感じました。 カワニシ:ヨンフォアはやっぱり注目度が高いですね。見た目にも、人が跨ったときのバランスがよくて、友祐くんの今日のファッションとも合っていましたね。
免許制改正が生んだ、ふたつの排気量
佐藤:ヨンフォアの中古車相場って、今はどれくらいなんでしょう? カワニシ:もちろん幅があるけど、程度がよくてノーマル状態に近い個体だったら、¥3,000,000台から¥4,000,000台ぐらいでしょうか。ちなみに新車発売当時の価格は¥327,000だから、10倍ぐらいになっていますね。400cc以下の中型モデルって、ナナハンなどの大型バイクより雑に扱われがちで、いい状態で残っている個体が少ないんです。同じホンダの「CBX400F」がいますごく高値なのも、同じ理由ですね。 佐藤:なるほどー。でも僕からすると、中型(普通二輪)免許で乗れる400cc以下の旧車って貴重なんですよね。 カワニシ:そうですよね。じつはヨンフォアが74年に発売されたときは408ccだったんですが、翌75年に運転免許制度が改正されて、400cc以下のみ運転可能な「中型限定」免許が設定されたので、76年に398ccの日本国内専用モデルが追加されたんです。なので市場には408ccと398ccモデルが存在するんです。 佐藤:性能はかなり違うんですか? カワニシ:408cc版の最高出力が37ps、398cc版が36psなのでほとんど変わりません。見た目もサイドカバーの色が変わったり、タンデムステップの取り付け位置が違ったりするぐらいで、ぱっと見ただけではわからないぐらいです。 佐藤:うーん、どちらも今や希少ですよね。どっちでもいいから欲しいなあ(笑) カワニシ:結果的に2種類のエンジンを用意することなどがコスト増につながって、もともと贅沢なつくりだったヨンフォアは、77年で生産終了になってしまったんです。その後、ホンダの400ccクラスはコストダウンしてつくれる2気筒の「ホーク」シリーズに引き継がれました。 佐藤:ヨンフォアがじっさいに生産されたのは3年間だったんですね。やっぱり“伝説のバイク”なんだなぁ。さらに憧れが高まりました。
【プロフィール】佐藤友祐(さとうゆうすけ)
96年6月11日生まれ、北海道札幌市出身。男女混成ダンス&ヴォーカルグループ「lol(エルオーエル)」所属。「avex audition MAX 2013」でアクター部門グランプリを受賞。lol加入後は、アーティスト活動だけでなく、俳優やモデルとしてもマルチに活躍中。 文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・山田佳苗 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・UEMATSU