国内の半導体大手トップ10企業に厳選投資、「グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF」の真価
世界的に高い成長が期待される半導体産業。半導体産業の成長を支えている日本の半導体関連トップ10企業に厳選投資するETF「グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF」(282A)が11月21日、東京証券取引所に新規上場した。国内半導体産業の特徴、そして、10銘柄に絞り込む魅力などについて、グローバルXジャパンのマーケティング部長の長谷川誠氏とヴァイスプレジデントの宮本将圭氏に聞いた。 ――ETFが連動をめざす「Mirae Asset Japan Semiconductor Top10 Index(配当込み)」(日本半導体・トップ10指数)の指数構成銘柄の特徴は? 宮本 半導体関連産業から20%以上の収益をあげている国内企業をピックアップし、浮動株調整後の時価総額で上位10銘柄を選びます。この10銘柄を時価総額加重によって比率を決定した指数を構成します。ただし、GICS産業サブグループで「半導体」「半導体素材・装置」に分類される銘柄は上限15%、それ以外の銘柄は上限10%というキャップを設けてあります。 ――具体的には、どのような銘柄になるのですか? 宮本 2024年10月末時点で上位10銘柄をピックアップすると、「アドバンテスト」「ディスコ」「ルネサスエレクトロニクス」「東京エレクトロン」「レーザーテック」「信越化学工業」「SCREENホールディングス」「ローム」「ソシオネクスト」「SUMCO」です。日本を代表する半導体関連企業としてみなさんがイメージする企業がおおむね網羅されているのではないでしょうか? この10銘柄を最低投資単位で買い揃えると1000万円以上の金額が必要になります。一方で、当ETFは1口=約1000円で購入することができます。東証に上場しているので、好きなタイミングで購入、売却もできます。国内の半導体関連企業に少額で投資ができて、機動的に売買できる点が当ETFの大きな魅力になると思っています。 ――組み入れられている10銘柄には変動がありますか? 宮本 毎年1月と7月に時価総額ランキングによって組み入れ銘柄の入れ替えと組み入れ比率の調整を行います。2018年7月からの変遷をみると、「東京エレクトロン」「信越化学工業」「ディスコ」「ルネサスエレクトロニクス」「アドバンテスト」「ローム」「SUMCO」は継続して組み入れられ、他の2銘柄に入れ替えがありました。 ――インデックスの値動きの特徴は? 長谷川 基本的には景気に連動する動きになっています。TOPIX(東証株価指数)が上昇している時には概ね上昇し、下落する局面では下落するなど、TOPIXと同じ方向に動く傾向が強いです。ただ、半導体産業に特化して投資していること、また、投資銘柄数も10銘柄に限定していることなどから、値動きはより大きくなります。ボラティリティ(価格変動率)が大きいことには注意が必要ですが当ETFの魅力の1つでもあります。 また、半導体産業に独自の「シリコンサイクル」という業界の好不況の波があります。3年~4年で1サイクルを繰り返しています。半導体業界の業績は、シリコンサイクルに合わせてトレンドとして業績が上向いている時には、2年~3年間は好業績が続くという傾向があります。ちょうど現在は、2年ほど前の業績が厳しい時期を乗り越え、AI(人工知能)ブームで半導体関連投資が非常に活発になっている時期でもあります。このトレンドをしっかり捕まえていただきたいという思いが、このタイミングで当ETFの上場をめざした理由の1つです。 ――「日本半導体・トップ10指数」の過去のパフォーマンスは? 宮本 指数が算出開始された2018年7月20日から2024年10月31日までの約6年3カ月間で年率リターンは23.36%になります。この間のTOPIXは年率9.39%ですので、リターン面では大きな優位性があります。ただ、リスクは年率33.10%とTOPIXの17.88%よりも大きくなります。 このパフォーマンスは日本の半導体関連企業により広く投資する指数が同期間に年率20.29%でしたから、大手10社に厳選投資する「日本半導体・トップ10指数」はリターンの水準で優位性があります。時価総額上位10銘柄で構成する当ETFの連動指数は、長期的に日本の半導体市場をリードするパフォーマンスが期待されると言えます。 ――米国に上場している半導体関連銘柄で構成されたフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)との値動きの違いは? 長谷川 日本の半導体産業は、製造装置や部品・素材に強いという特徴があります。直近の値動きをみると、SOX指数よりも「日本半導体・トップ10指数」の方が良い成績になっています。これは、近年の半導体不足を背景に世界各国で半導体の製造工場を新設・増設する計画が動いているためです。工場を拡張しようとすると、まずは半導体製造装置や部品・素材への需要が高まります。その点では、日本の半導体産業は世界の半導体産業に先行する傾向があるともいえます。 一方で、日本の株式市場が米国などと比べると出遅れているため、国内の半導体関連株の株価も米国などと比較すると依然として出遅れ感は強いと考えられます。 また、当ETFが半導体関連のトップ10に投資することは、半導体関連だからこその価値があると考えています。半導体産業は高度にグローバル化が進み、世界的な分業が進んでいます。設計やデザインは米欧の企業に強みがあり、組み立ては台湾、そして、半導体製造装置や部品・素材、半導体の品質検査などは日本に強みがあります。それぞれの分野で寡占化が進み、たとえば、半導体製造装置の分野では大手5社の合計で市場の約73%を占めています。素材の1つであるシリコンウエハは大手3社で約74%などです。半導体の製造プロセスの微細化を背景に半導体市場でビジネスを展開するには大規模な設備投資が必要であるため資金力のない新興企業が参入しにくく、上位の企業がシェアの大部分を占めているという状況です。この傾向は今後もますます強まると考えられます。だからこそ、半導体業界では上位企業に集中投資するメリットが大きいのです。 半導体産業は、デジタル化の進展に伴って、今後も大きな成長が期待されています。たとえば、生成AIの需要は2023年から2030年にかけて国内では年平均約47.2%、世界では年平均約53.3%の成長が見込まれています。この他にも携帯電話で使われる5Gの関連半導体、EV(電気自動車)向けの半導体など、将来に向けて様々な分野で半導体の需要が拡大していく見通しです。 「グローバルX 半導体・トップ10ー日本株式ETF」は運用管理費用(信託報酬)を年0.11%(税込み)以内にしました。長期で投資していただいてもコストの負担は軽微です。分業化が進んだ半導体業界を考えれば、米SOX指数を連動対象指数にしている「グローバルX 半導体ETF」と併せ持つという手法も十分に魅力的なものになると考えます。ぜひ、長期の資産形成にお役立てください。
ウエルスアドバイザー