ミサイル発射で挑発合戦、アメリカの北朝鮮攻撃は近いのか?
グアム攻撃へ向けた北朝鮮の“入念な”準備
果たしてグアム攻撃は実行されるのか? その答えは、YESかつNOでしょう。 分からないということではありません。北朝鮮にとってはYESであり、アメリカにとってはNOである攻撃が行われるという意味です。 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は、軍高官の談話として「朝鮮人民軍が発射する火星12ロケットは、日本の島根、広島、高知各県の上空を飛び、3356.7キロを1065秒飛翔した後、グアムから30~40キロ離れた海面に着弾する」と報じています。 「グアムから30~40キロ離れた海面」。この言葉は、領土はもちろん、領土と同じ主権の及ぶ領海(基線から12マイル(約20キロ))には落とさないという意味になります。 北朝鮮によるミサイルは、日本近海に打ち込まれるケースが頻発していますが、これらと同様に、領海の外である接続水域や排他的経済水域に落下させることと、国際法上は大差ないことを行うと言っているに過ぎません。相手が日本ではなく、アメリカだというだけです。 これに対して、トランプ大統領は「もしグアムに何かあったら、北朝鮮に大変な惨事が起きる」「北朝鮮がグアムや米国の領土、同盟国に対して事を起こせば、真に後悔することになる。直ちに後悔するだろう」と応じています。 言葉は強烈ですが、「もしグアムに何かあったら」「事を起こせば」という前提条件を必ず付けています。言い換えれば、グアムに何もなければ、反撃はしないと言っているのです。 北朝鮮は、軍高官が言ったとおり、グアムの“近海”にミサイルを発射し(YES)、アメリカにとっては、グアムにとって実質的な影響はなにもない(NO)領海外にミサイルが落下したという事象となる可能性が高いということです。 現在は、このシナリオに則り、双方が過激なメッセージのやり取りを行い、双方の面子が立つ状況を探っているに過ぎません。 しかし、事故は起こりえます。 そのため、北朝鮮は、発射に失敗しても、実際の被害が生じないよう、ロケットを自爆させるなどの準備を、今までのミサイル発射以上に入念に準備していると思われます。 グアム近海の落下予定地点付近は、北朝鮮からは水平線下となります。報道は見当たりませんが、もし北朝鮮海軍の艦艇や偽装された民間船舶がグアムに近づいているのであれば、被害を発生させないため、ミサイルを自爆させるための艦艇でしょう。 こうした動きがあれば、北朝鮮の意思を確認するため、米軍は監視を行いつつ、放置していると思われます。 一方で、北朝鮮が8月中旬までに、この準備を完了させると発言しているのは、日本や米国が、もしもの事故に備えて、迎撃準備を行う時間的猶予を与えるためだとも思えます。自衛隊は、ミサイルが上空を通過する中国・四国地方の4県(島根、広島、愛媛、高知)に地上配備型迎撃ミサイル「PAC-3」部隊を配備しましたし、イージス艦も既に待機位置に到着していると思われます。北朝鮮としても、事故によって日米に被害がでてはマズいためです。