中国4.6%成長に減速 日系下請けメーカーの活路は?【WBS】
10月18日に発表された中国の2024年7月から9月のGDP(国内総生産)の実質成長率は4.6%のプラスでした。中国政府が2024年の成長率目標を「5%前後」とする中、上半期より成長が鈍化しています。ただ、国家統計局の盛来運副局長は「9月の経済情勢は前向きに変化し、発展への自信を強めている」と、消費を中心に景気刺激策の効果が出てきていると強調しました。9月の小売売上高では買い替え支援策の対象である家電は大幅なプラス。自動車も7カ月ぶりにプラスに転じました。 中国ではEVなど新エネルギー車の販売が大きく伸びる一方で、ガソリン車の販売が減少しています。その影響を大きく受けるのが日系の自動車メーカーです。中でもホンダや日産は3年前に比べると販売台数が半分ほどにまで減少。こうした状況に強い危機感を募らせるのが下請けの部品メーカーです。 中国南部にある「広州丸順汽車配件」はボディーの骨格からドア接続部品のヒンジまで大小さまざまな部品を主にホンダ向けに生産しています。ホンダの販売低迷が業績に大きな影響を与えているといいます。 「ホンダの生産台数にほぼ比例するため、(出荷・生産量は)現状3~4年前の半分近くになっている」(広州丸順の棚橋哲郎社長)
一方でホンダへの依存度を下げるべく、3年前からEV(電気自動車)向けバッテリーで世界シェアトップの中国の電池メーカー「CATL」向けのビジネスを本格化。およそ20億円をかけて巨大なプレス機も導入しました。 プレスを終えて出てきたのは、長さ1.8メートルもの巨大な鉄の部品。こうした部品を組み合わせてEVのバッテリーケースを作っています。事故などの際に発火や爆発を防ぐため、高い精度と品質が要求されるといいます。 さらに棚橋社長は「日系企業とは全く違う。一番違うのはスピード。通常、骨格部品は1年かけて金型を作って、品質・精度を高める。CATLは2~3カ月で金型を作り、精度・品質が保証できる部品を2カ月で作らなければならない」と話します。 開発スピードを速めるなどの努力を重ねた結果、広州丸順ではバスなどの大型車向けのバッテリーケースの受注にも成功。売り上げに占めるCATLの売上は3割にまで上がりました。更なるビジネス拡大を狙い、CATLの本社のある福建省に約60億円かけて新たな工場も建設。来年から生産を始めます。 「余裕のある会社ではない。日系企業やホンダの販売不振を理由にはできない。われわれ自身の強みをベースにCATLを伸ばしていくことが自分たちの仕事だ」(棚橋社長) ※ワールドビジネスサテライト