14座制覇に王手! 登山家・渡邊直子さん「シシャパンマ」登頂へ ~いじめられっ子が山からもらった自信と達成感~
標高8000m級の世界の山々に挑み続けている女性がいる。福岡県大野城市出身の登山家・渡邊直子さん42歳。高所登山に挑み続け、ゴーグルの跡がくっきりと残るくらい日焼けしている。 【写真で見る】登山家・渡邊直子さん 9月19日、ヒマラヤ山脈に属し世界第8位、標高8163mの「マナスル」登頂に成功。渡邊さんは、マナスルに4回登頂した世界で初めての女性と言われている。 その日は快晴で、無風、他の登山家もおらず、渡邊さんの仲間4人が独占するような形で、登頂成功となった。通常、8000m峰に初挑戦する場合、最終キャンプであるキャンプ4から挑戦することが多いらしいが、高所登山が初めての仲間がいたにもかかわらず、キャンプ2(6300m)からダイレクト登頂に成功するという偉業を成し遂げた。 「マナスルは人を食べる山」と表現する登山家もいるくらい、雪崩が多い山だが、雪崩に遭遇することもなく、クレバス(氷床にできた深い割れ目)や粉雪に苦戦しながら、フィックス(ロープ)を張り、仲間とのチームワークで登頂達成となった。 ■すでに13座登頂、残るは「シシャパンマ」 世界には最高峰「エベレスト」(標高8848m)をはじめ、標高8000mを越える山が14座あるが、渡邊さんは、このうち13座の登頂に成功している。 渡邊さんは「挑戦している」という意識よりも、「山を楽しみに登っている」感覚で登り続けているという。登山のために特別な筋力トレーニングをしているわけではない。一番大事なことは、登山中に高度順応できるかどうかということなのだそうだ。 20代半ばから高所登山に挑戦し、2006年に1座目となるチベット「チョ・オユー」(標高8201m)に登った際、「標高が高くても全然きつくなかった」と話す渡邊さん。気が付けばシェルパ(ガイド)や仲間を置いて1人で酸素ボンベをかつぎ、自ら調整しながら登頂に成功していた。 その後、標高6476mのネパール「メラ・ピーク」にイギリス人男性と2人で登り、最初は男性に全然付いていけなかったそうだが、標高が高くなるにつれ、自分の方が早く登れていることに気付いた。自分の体が高所登山に向いていると確信できた瞬間だった。