ユーロのベスト4対決 ロナウドは不振脱出できるか? フランスの勝算は?
もしかすると、トーマス・ミュラーをゴメスの位置に入るかもしれない。ボランチはトニ・クロースが健在だし、ケディラのようなダイナミックなプレーはできないものの、20歳の成長株ユリアン・バイグルもいる。センターバックには安定感のあるベネディクト・ヘヴェデスも控えていることを考えれば、不安視されるのはやはりゴメスの穴となる」 対するフランスは、上昇気流に乗ったままドイツと対峙する。大会に入ってシステムを「4-3-3」から「4-2-3-1」に変更したことが奏功。決勝トーナメントの2試合で7ゴールをあげている好調ぶりを、鈴木氏は「ディディエ・デシャン監督の手腕がすべて」と称賛する。 「フランスがこれだけ安定したメンタルでビッグトーナメントを戦うのは、優勝した2000年のユーロ以来となる。個性的な選手がそろったチームから不満が出ない理由は、デシャン監督が選手たちといい関係を築けているからに他ならない。例えば稀有な身体能力をもつポール・ポグバが決して目立つことなく、チームプレーに徹している点を見ても、デシャン監督がいかにチームを上手くまとめているかがわかる。 大会前にはバイエルンで充実したシーズンを送ったフランク・リベリーが、新聞などを通じて代表復帰を訴えてきた。しかし、チームが空中分解したW杯南アフリカ大会の戦犯の一人とされたリベリーの声に、デシャン監督はいっさい耳を貸さなかった。絶対的な規律を求める姿勢を貫く点と、大会途中にシステムをガラリと変えた勇気という点で、彼は名将への道を歩んでいるといっていい」 通算対戦成績はフランスが12勝6分け9敗でリードしているが、W杯では決勝トーナメントの舞台でドイツが3連勝中だ。ゆえにフランス国民はドイツへ苦手意識を抱いているが、鈴木氏は「今回はフランスが有利だと見る」とこう予測する。 「自国開催ということ、そして勝つべくして勝ってきた軌跡とドイツの状態を考えると、フランスにとって大きなチャンスが訪れた。フィジカル勝負で当たり負けせず、そのうえでベイルをしっかりと封じれば、フランスとドイツの勝者がそのまま頂点に立つのではないか」 11日未明の決勝戦を含め、キックオフは3試合とも日本時間の午前4時。眠れぬ夜はもう少しだけ続きそうだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)