ユーロのベスト4対決 ロナウドは不振脱出できるか? フランスの勝算は?
今大会から出場枠が8増の「24」となった恩恵もあり、初出場を果たしたウェールズ、アイスランド、北アイルランド、スロバキアがそろって決勝トーナメントへ進出。44年ぶりに出場した古豪ハンガリーも、攻守両面でハードワークを貫くチームに変身してグループFを1位突破している。 旋風を巻き起こしたチームの共通項は、フィジカルコンディションの高さとなる。チャンピオンズリーグの出場枠がUEFAランクの下位国にまで拡大された2009-10シーズンを境に、まずはクラブレベルで取り入れられた先進的なトレーニングが、時間の経過とともに代表チームにも好影響を与えてきた。 前出の鈴木氏は「そのなかでもウェールズは、ドイツなどの強豪国と比べて遜色のないレベルのフィジカルコンディションをもっている」とこう続ける。 「FIFAランキング2位のベルギーを3-1で破った準々決勝の終了間際に、ウェールズはダメ押しゴールを奪っている。同点に追いつこうとあらん限りのエネルギーを注いできたベルギーの前に防戦一方になるのではなく、プレッシャーをはね返し続け、最終的には突き放した試合展開を見て、持久力やスピード、パワーといった点で本物のチーム力を備えていると確信した。 全体をコンパクトに保ちながらフォアチェッキングやハイプレスを繰り出し、前線からの激しい守備からボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける点で、いわゆる『引いて守ってカウンター』というスタイルとは一線を画している。準決勝ではMFアーロン・ラムジーが出場停止となるが、戦い方が確立されている点で、ウェールズの総合力は落ちないと見ていい」 4日の練習を一部回避したことで周囲を心配させたベイルだが、疲労を取り除くための措置で問題はないと明言。歴史をさらに塗り替える戦いへ、心技体は最高のハーモニーを奏でている。 ドイツ対フランスの準決勝は、両国が対照的な状況に置かれている。W杯ブラジル大会の覇者のドイツは、故障者続出の緊急事態に見舞われた。1トップのマリオ・ゴメス、ボランチのサミ・ケディラの欠場がすでに決定。キャプテンのMFバスティアン・シュバインシュタイガーの出場も危ぶまれ、最終ラインの要マッツ・フンメルスも累積警告で出場停止。鈴木氏は「特にゴメスの離脱が痛い」と指摘する。 「グループリーグ最終戦からゴメスが前線に入り、ターゲットができたことで、確実にボールが収まるようになった。ポストプレーや味方を生かすプレーで攻撃のリズムがかなり好転しただけに、マリオ・ゲッツェを起用してそれまでのゼロトップに戻すのかどうか。ただ、バイエルン・ミュンヘンで試合にほとんど出ていなかったゲッツェのプレーには、物足りなさと不安を禁じえない。