社会人野球全日本クラブ選手権 藤田主将、兄弟でマツゲン箕島の優勝に貢献
日本選手権出場で「引退延びた」
京都府福知山市三和町出身の藤田幸永選手(25)、希和選手(23)兄弟が所属する社会人野球クラブチーム・マツゲン箕島硬式野球部(和歌山県)が、「第48回全日本クラブ選手権大会」で優勝した。兄の幸永選手は、今大会での引退を決めていたが、優勝したことで10、11月の日本選手権への出場が決定。兄を慕う希和選手は「まだ一緒に野球ができる」と喜んでいる。 藤田兄弟は、三和中学校、福知山成美高校の卒業生で、中学時代は福知山ボーイズに所属。藤田家の次男と三男。長男の大成さん(27)は、成美ナインの左翼手として、2014年のセンバツ(春の甲子園)に出場して8強入り。2人も成美で白球を追い、野球の“藤田3兄弟”として、地元では有名な存在だった。 幸永選手と希和選手は大学卒業後、マツゲンに所属。現在は捕手の幸永選手が主将を務め、多くが2000年代生まれの若いチームをまとめ、投手陣を巧みなリードで盛り立てる。希和選手は二塁手で、堅守と出塁率の高さが売り。 全日本クラブ選手権は、各地の予選を勝ち上がった社会人クラブ16チームが集結。8月31日から9月3日まで、栃木県と群馬県を会場にトーナメントをした。マツゲンは1、2回戦を突破し、優勝候補の強豪ライバルチーム、大和高田(奈良県)が待ち構える3日の準決勝に進んだ。 1回裏に1番・希和選手が四球を選んで出塁。後続の適時打で、貴重な先制のホームを踏み、その後の打席では左前打を記録。幸永選手も4回裏に左前打を放ったほか、直球に変化球を絡めた投球が武器の先発エース・奥田貫太投手の良さを、女房役の捕手として引き出し、6-0の完封で勝利を収めた。 大きな山を越え、同日にあったエフコムBC(福島県)との決勝も、勢いそのままに9-1で圧勝。藤田兄弟は、ともに大会フル出場で、幸永選手は4試合を3失点で抑える好リード。希和選手の守備も光り、チームの4大会ぶり6回目の優勝に貢献した。 準決勝、決勝を観戦した父の智さん(50)は「幸永の引退決断で、この大会は兄弟で野球ができる最後の機会だと思っていたので、最高の結果になって良かったです。日本選手権への出場が決まり、また兄弟そろって大舞台に立てることがうれしい。2人には、最後まで全力で野球を楽しんでほしい」と話している。 優勝で切符を得た社会人野球日本選手権は、全日本クラブ選手権や都市対抗野球大会などの優勝チームに、各地区の最終予選を勝ち抜いた代表チームを含め、計32チームが出場。10月29日~11月17日に京セラドーム大阪で行われる。