「他人の人生を狂わせてしまって後悔しない日はない」――入江慎也が語った騒動と相方・矢部への思い
清掃業はやりがいのある仕事
「清掃業を始めたときに『禊ぎなのか?』と言われたことがあります。世間の皆様に対して、反省しているということを見せるために選んだ仕事だと思われてしまったのでしょう。でも、僕は禊ぎで清掃の仕事を始めたわけじゃない。やりがいのある仕事だと思っていましたから」
入江の会社の名前は「ピカピカ」。ピカピカのセカンドキャリア1年生。心機一転の意味も込めた。 ピカピカには現在、冒頭に登場した2人の若手社員がいる。 2人は入江と一緒に働きたいと応募してきた。元役者と元フリーター。入江が彼らに最初に教えたのは挨拶の仕方だったという。 「ごちそうさまは大きな声で。うれしいことがあったらきちんとお礼をする。その瞬間に満足してはコミュニケーションが終わってしまいますよね」 彼らには芸人時代に培ったコミュニケーションの大事さを教えている。 「お金を頂戴しているお客様の前では、我々は等しくプロです。清掃についてはもちろんですが、コミュニケーションにおいてもプロとして振舞ってほしいんです」 エアコンの清掃依頼が来たら、その先のアフターケアも説明する。客が何を欲しているかを会話の中から探す。売り上げが達成できない理由を人のせいにしない。それは彼らに自力で稼いで幸せになってほしいからだ。
ピカピカはまだまだ零細企業の枠を出ないが、日々の仕事で充実感はある。 「生活は本当に変わりましたね。今は朝6時になると目が覚めちゃう」 自分が倒れたら会社はあっという間につぶれてしまう。2人の若者を雇用した責任も感じている。責任感とは、これまでの入江にはなかったものかもしれない。 「ここで一人前になって仕事が楽しいと思ってほしい。そして様々な境遇の若者に清掃の世界に飛び込んできてほしいですね」
この部屋をきれいにしたんだぞと胸を張りたい
今でも入江はことあるごとに相方の矢部に連絡をする。最近は仕事で使うイラストを描いてもらった。もちろん事務所を通して。
「清掃終了カードに使う絵をカラーで描いてもらいました」 新しい部屋に入ったときに「清掃が終わっています」というメモが置いてあるのを見たことがあるかもしれない。これは業者がきっちりと清掃を終えた証しである。 「誰もいない空室の掃除は、人といることが好きな自分にとっては、とても孤独な仕事なんですね。朝から夜まで誰とも会わないこともありますから」 俺がこの部屋をきれいにしたんだぞって胸を張りたい。せっかくだから矢部の描いたイラストをつけて部屋に残すようにしたのだ。 「そっと無言でやるのが美学かもしれません。でも、掃除した人に思いを馳せてほしいんです」