大谷翔平選手が投稿した“ドジャーブルー”の鉄瓶 南部鉄器9代目の挑戦 「ものづくりのバトン」を次の時代へ
メジャーリーグのドジャースで活躍を続ける大谷翔平選手のInstagramで紹介され、世界から注目を集めるのが、大谷選手の地元・岩手県で生産される南部鉄瓶だ。 【写真】“ドジャーブルー”だと話題になったが、実は以前から商品化されていた鉄瓶。大谷選手の投稿で、注文が殺到している。 長い歴史を持つ工芸品である南部鉄器は、鍋やフライパンなど多種多様で、中でも鉄瓶は南部鉄器を代表するアイテム。 最近ではアスリートやモデルが、南部鉄器の鉄瓶を使い、白湯(さゆ)を飲んでいる様子がSNSやテレビ番組で紹介されるたびブームを繰り返してきた。
冬の時代を経て、じわじわと盛り上がりつつあった鉄瓶人気は、“だめ押し”の大谷効果で勢いを増している。そこには、先祖からの伝統を守りながら現代的な手法でファンを増やす伝統工芸の担い手がいる。 ■受注殺到で納期は1年待ち 大谷選手が5月9日、Instagramのストーリーズに「ありがとうございます」の文字とともに、深い青色の鉄瓶とふたつの湯飲み茶碗の写真を投稿。 すると、写り込んだ商品タグを手がかかりに、フォロワーたちがこの鉄瓶が大谷選手の地元・岩手県奥州市の南部鉄器の工房「及富(おいとみ)」で作られた製品だと突き止めて投稿し、X(旧Twitter)などで話題になった。
「及富」は江戸時代後期1848年創業。9代目で同社アートディレクターの菊地海人さんは、職人としての技術を磨きながら、ECサイトの運営や広報を担当してきた。 大谷選手の投稿は知り合いからのLINEで知ったという。「最初は、まさか! ありえないというのが正直な感想でした」と衝撃を振り返る。 Instagramで紹介されたのは「みやび」と名付けられた1リットルの鉄瓶。同社で30年ほど前から制作しており、黒と青の2色展開で国内外に販売されている。
SNS上では、鉄瓶の色合いが「ドジャーブルー」に似ていると話題になったが、もともとある定番商品のひとつ。 鉄瓶の贈り主が誰かは分からないが、八角形で末広がりのフォルムから、縁起が良いギフトとして以前から人気があるという。 菊地さんは自身のXに「大谷選手のストーリーズで及富さんの鉄瓶がのってるよとメディアから電話が次々と」「ただただ驚いていますし、光栄なことです。大谷選手の地元であるここ奥州市から日々応援しているのでとても嬉しいです」と投稿。