「エコノミックガーデニング」で地方経済のレジリエンスを高める
雇用創出効果が大きい「中小企業の成長」
さんむエコノミックガーデニング推進協議会のHPより
コロナ禍は、飲食や旅客サービスにおける需要の喪失やサプライチェーンの機能不調による供給の減少などを招き、経済全体に衝撃を与えた。さらに、国際紛争により 燃料や原材料が値上がり し、 円安 と相まって、不況とインフレーションが同時に進行することが懸念されている。このために経済基盤が相対的に脆弱な地方都市が大きな影響を被ると考えられる。 地方都市が経済基盤を強化する場合には企業誘致を志向しがちであるが、今後、地方都市に産業団地を整備しても、進出してくるのは労働集約的な製造業の工場ではなく、配送センター、データセンター、自動化された機械で製造する無人工場などであろう。あるいは、地域内に既に立地している企業が、設備の更新や生産規模の拡大を契機として、より有利な立地条件を求めて産業団地に移設してくるだろう。このような企業誘致は、正規雇用の創出に大きく貢献することはないし、工場労働者に関連する飲食業やサービス産業の繁栄につながりにくい。 地方都市においては、中小企業が地元の人々の職場であり人々の経済活動を支えていることが多いのだから、中小企業振興を重視するべきである。特に、従業員数が10人から99人という規模の中小企業が成長するときには大きな雇用創出効果が期待できる。また、それより小さな規模の企業でも、地域経済で安定した雇用をもたらす企業や、地域資源を活用したり地元の人々のニーズにきめ細かく応えたりして、富の分配や他企業の生産性向上に貢献をする企業がある。中小企業の活発な活動が地域経済活性化につながるのだ。
本文:4,583文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
山本尚史