生活保護の申請をしたら「まずは家族から援助を」と断られてしまいました。生活保護は「国民の権利」ではないのでしょうか?
何らかの理由で収入がなくなり、生活が苦しい場合に考えるものが生活保護の受給です。 生活保護を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、受給する前に家族からの援助が可能かどうかを確認されることがあります。 そこで今回は、生活保護を受給するにあたり、家族からの援助が受けられるかどうかを確認される理由を解説します。また、家族からの援助がある場合は生活保護が受けられないのかについてもあわせて解説しますので、参考にしてみてください。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
生活保護の際に家族からの援助ができるか聞かれる理由は?
生活保護法第一条では、生活保護について「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」としています。 一方、同法第四条第2項では、扶養の優先として「民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と規定しています。 つまり生活保護は国民の権利だとしても、まずは家族で扶養できないのか検討する必要があるというわけです。この場合の扶養義務者の範囲は、民法第八百七十七条で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」とされています。 そのため、生活保護の相談をする際に、家族から援助を受けられないか聞かれることがあるでしょう。
生活保護の受給要件とは?
生活保護を受ける前には、生活費に充てられる資金があれば活用することが受給要件とされています。 ・預貯金、生活に利用されていない土地・家屋などを売却する ・働ける方は働く ・年金や手当を受給できる場合は活用する ・親族などから援助を受けられる場合は援助を受ける 上記を活用したうえで、世帯の収入が最低生活費を満たない場合は生活保護が適用されます。生活保護を申請した後は、預貯金や保険・不動産などの資産の調査、年金や就労状況の調査に加えて、親族による仕送り可否などの調査を行います。