0.5ポイント利下げ主導のパウエルFRB議長、一段と強力な存在に
(ブルームバーグ): 米金融当局が今月開いた連邦公開市場委員会(FOMC)会合の1週間前、どの程度のペースで利下げするかについて当局者の意見は割れていた。
金融当局の積極的な対応を促すような明確な警告のサインはまだ点灯していなかった。だが、一連の雇用統計は6日に発表された8月分を含め冷え込みが顕著となっており、労働市場へのリスクの高まりに備えるには、通常より大幅な利下げが必要だとパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は認識した。
11日と12日にそれぞれ発表された8月の消費者物価指数(CPI)と同月の生産者物価指数(PPI)で物価上昇圧力の緩和継続が示されたことで、議長の方針は固まった。
18日には0.5ポイントの大幅利下げの決定と同時に、最新の金利予測分布図(ドット・プロット)が発表され、年内の利下げ幅を計1ポイント以上と見込む当局者がわずかながらも過半数に上り、少なくとも1回の大幅利下げの見方が示唆された。
しかし、年内利下げ幅を計0.75ポイントとし、0.25ポイントずつで3回の利下げを予想する当局者の数も多かった。
それでも、FOMC投票権メンバー12人中11人は結局、0.5ポイント利下げに踏み切るパウエル議長の取り組みを支持した。景気拡大の持続を目指す議長にとって重要な勝利を意味する。唯一反対票を投じたボウマンFRB理事は、インフレ抑制の進展阻害を回避するため、0.25ポイントの小幅利下げを訴えた。
ポトマック・リバー・キャピタルの創業者で、連邦準備制度と議会との関係に関する著書があるマーク・スピンデル氏は「FRB議長には常に多大な権限がある」と述べるとともに、「ボウマン理事を除く全員の同意を得ることができたパウエル議長には明らかなサクセスストーリーであり、彼は今や一段と強力な議長となっている」と語った。
パウエル議長は18日、FOMC会合後の記者会見で、0.5ポイント利下げは「強力な良いスタート」だとし、「経済的観点からもリスク管理の観点からも」理にかなうと説明していた。