「マチノはゴールマシーンだな!」ドイツで5発だけでなく…日本代表選外・町野修斗“覚醒の2項目”とは「FWとして乗ってきてるのかな」
FWとして乗ってきているのかなと
ラップ監督の求めるタスクをこなしながらゴールを決めるのは簡単ではない。 ただ、求められるタスクの多彩さは成長を促してくれる。そして、自身をこれまで育ててくれた恩師たちのもとで必死に取り組んできたことが今につながっていると感じさせてくれることもある。 「そういう意味では、フォワードとして乗ってきているのかなとは感じたりしますね」 しかし、ブンデスリーガ得点ランク3位タイで迎えた10月、日本代表のメンバーに町野の名前はなかった。最後に代表に招集されたのが2023年3月のコロンビア戦だから、1年半以上も離れている。さらに今回の代表発表直前のハイデンハイム戦で今季初の出番なしに終わり、インドネシア戦と中国戦に臨む11月シリーズも未招集となった。 悔しさがないわけがない。 それでも、全てを決めるのは監督だ。現状では代表のセンターフォワードを任されている上田綺世が、ケガさえなければ優先順位が高いということだろうし、途中出場から次々とゴールを決めている小川航基は上田や町野以上にクロスに合わせる際の強さを兼ね備えている。 あるいは、9月のバーレーン戦後に守備を担当する斉藤俊秀コーチがヨーロッパ視察に訪れていたが、攻撃担当のコーチたちが町野を現地で視察していたら、何か違ったかもしれない(前田遼一コーチらは、10月の代表戦後に渡欧した)。
僕はただ、自分にフォーカスを向けて
もちろん、町野にはハンデがある。 第2回で紹介したように、日本サッカー協会の拠点があるデュッセルドルフ近郊の都市であれば、オランダやベルギーのクラブであっても、監督やコーチは気軽に練習も見に来られる。ただ、ドイツの北の果てとも言える場所にあるキールに足を運ぶのは簡単ではない。そもそも、森保一監督を筆頭にスタッフは町野の試合映像をチェックしているわけだから、現時点ではまだ、そういう評価であることを受け止めないといけない。 全てをわかっているから、町野はこう話す。 「どんな状況であれ、まずは自分のチームのためにやり続けるしかないです。みんなそうやって頑張ってきたことで、代表に選ばれてきたわけですから。僕はただ、自分にフォーカスして、自分に矢印を向けて、やっていくだけです」 町野が目標としているフォワードの筆頭は、ロベルト・レバンドフスキ(現バルセロナ)だ。 「彼が万能型のフォワードの選手だからです」
今やるべきことを…次のステップへと
チームのため、プレーの引き出しと仕事を増やし、その上でゴールを狙い続ける。町野という選手の能力を表す六角形のレーダーチャートがあるとすれば、キールで求められ、取り組んでいるのは、何か1つを突出させる作業ではなく、六角形の面積自体を広げるようなものだ。 周囲の人にとって、そこでの成長は感じ取りづらいかもしれない。 ただ、今やるべきことを高いレベルでこなせるようになれば、必ず次のステップへと進んで行ける。そう信じて、町野は牙を研ぐ。いつ声がかかっても、期待に応えられるように。 〈第1回、第2回からつづく〉
(「核心にシュートを!」ミムラユウスケ = 文)
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