「教育は国が責任持つべき」中川前衆院議員が講演 三重・松阪市教育会館で
「日本は連立政権が向いている」
10月の衆院選に出馬せず政界を引退した三重県松阪市魚見町出身で文部科学大臣などを務めた中川正春前衆院議員(74)は10日午後6時20分から、垣鼻町の市教育会館で講演し、現在の少数与党政権や多様性社会などを念頭に、日本は連立政権の方が向いているとの考えを示した。教育に関しては国が責任を持って行うべきと持論を披露し憲法の課題にも言及した。 中川氏は1983(昭和58)年に当時の県議選松阪市・飯南郡区から出馬して初当選し連続3期。その後、衆院を9期務めた。その間、民主党政権で文科大臣や防災担当大臣などを歴任した。今回の講演は、戦争をさせない三重県1000人委員会松阪(前嶌徳男共同代表)が長年政治家として活躍した中川氏と共に日本の在り方を考えようと開いた。 集まった約50人を前に中川氏は、自民党の「政治とカネ」の問題に触れた上で、政治改革を挙げて「今の衆院の小選挙区と比例代表という中途半端な制度がいいのかどうか、(制度がスタートした)30年前にさかのぼって検証すべき」と述べた。
少数意見を取り入れ多様性生かす議論を
続けて「日本は意見集約を図っていく上で連立内閣の方が向いているのかとも思う」と述べた。 さらに「ヨーロッパを一つにしようとEUが始まった。国がたくさんあるので合意を得るのに時間はかかるが最終的に合意をつくっていく。これに対しアメリカは(二大政党を政権が)いったりきたり。ヨーロッパはごちゃごちゃしながらも、つまり多様性の中で合意をつくり上げている」と述べ「どういう形で民主主義をつくり上げていくか」が重要と強調した。 「一つの政党が強くなると独裁になる。少数意見なんて聞かない。一つの方向を目指したらそれが破綻するまでとことんいってしまう。多様性はそうではない。途中のいろんな議論の中で軌道修正される、あるいは新たにリセットされるもの」と展開。「政治改革の原点に返って少数意見をどうやって取り入れるかが大事」と結んだ。 教育に関しては「国の責任で行うこと」を強調。「親の金を当てにして大学に行くのは日本だけ」とし、リカレント教育を含めて「人への投資を」と力を込めた。 憲法議論を巡っては韓国大統領の「非常戒厳令」を挙げて「緊急時に首相や政府の権限強化といった議論があるが、立憲主義は権力の暴走を止めるものでなければならない」と指摘。「韓国は大統領の暴走を国会が止めた。昔の韓国ならクーデターになっていた」と述べた上で「問い直すべき憲法の課題は平和や、ネットによる人権侵害など他にもある」などと語った。