セブン&アイの自社株買収、3メガバンクから資金6兆円調達案…伊藤忠の参加には課題残る
セブン&アイ・ホールディングスは13日、創業家から経営陣による自社株買収(MBO)提案を受け、検討していると発表した。関係者によると、買収総額は9兆円規模が想定されている。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから受けている買収提案に対抗する狙いとみられる。
発表によると、MBOは創業家出身の伊藤順朗副社長と、セブンの株式を約8%保有する創業家の資産管理会社・伊藤興業が提案。法的拘束力のない非公表の提案としている。セブン側は「社外取締役のみで構成される特別委員会が、慎重かつ包括的な検討を行っている」と説明した。
関係者によれば、MBOに必要な資金は金融機関の融資などで賄う方針。3メガバンクから約6兆円を調達するほか、伊藤忠商事なども出資して非公開化する案が浮上している。
セブンはクシュタールから受けた7兆円規模の買収提案について特別委で検討を続けており、MBOはその対抗策となる。ただ実現には巨額の資金調達にメドをつける必要があるほか、ファミリーマートを傘下に持つ伊藤忠の参加には独占禁止法上の課題も残り、先行きは見通せない。
◆経営陣による自社株買収(MBO)=「マネジメント・バイアウト」の略。M&A(企業の合併・買収)の手法の一つで、経営陣が自己資金や金融機関などから調達した資金で自社株を買い取る。株式を非公開化して経営改革を進めやすくする狙いがあり、近年大型案件も相次いでいる。