「知らなかった」って人も多い! 残価設定ローンの金利は「残価を差し引いた額」ではなく「全額」にかかるものだった
残価設定ローンはフルローンをベースに設計されている
新車を購入するときに5年間のローンを組んだが、4年を経過したときに、別の新車に乗り替えたくなったとする。このときはどうすればいいのか。 【画像】残価設定ローンの仕組みについて詳しく見る 基本的には繰り上げ返済を行い、残りの1年分も返済する。ローンの全額を返済したあとで、その車両を売却して、改めて新車を買うのが本来の方法だ。 しかし、この方法で新車に乗り替えるには、1年分の残存債務を支払えるだけのお金が必要になる。ユーザーは辛くないのか。この点の対処方法を販売店に尋ねると、以下のように返答された。 「お客さまが下取りに出したいクルマに、ディーラーローンの残債(残存債務)がある場合、次の新車を購入する弊社がお客さまの愛車を買い取ります。そのときにローンを完済して、お客さまの愛車にかけられていたローン会社の所有権も解除します。そして、お客さまの愛車の査定額からローンの残債を差し引き、いくらか残った場合は、それを頭金に充当して新たに弊社から購入していただく新車のローンを組みます」。 冒頭で述べたように、本来はいままでのローンを完済したうえで、新たなローンを組んで新車を買う。しかし、実際にそれを行うには、ユーザーに手もちのお金が必要で困難だから、ローンの返済途中でも乗り替えを可能にしている。 ちなみに残価設定ローンは、ローン返済途中の乗り替えを、ローン形態の一種として確立させたものだ。話を単純化すると、たとえば200万円のクルマで6年間のローンを組んだとする。返済を3年間行って、残存債務が80万円になったときに、別の新車に乗り替えたいと思った。そこで今まで使ってきた車両を査定させると、ちょうど80万円で、残存債務と同じ金額だった。そこでその車両を引き渡すことで、80万円の残存債務も解消させて、新たに新車を買うという乗り替えパターンだ。この形を変えたのが残価設定ローンになる。 このように、残価設定ローンはあくまでも車両価格の全額を返済するフルローンをベースに、返済を途中で中止する想定で成り立っている。そのために金利は返済期間に支払う金額にだけでなく、車両価格のすべてにかかるのだ。
渡辺陽一郎