全米OPジュニア日本人女子31年ぶりの快挙を果たした16歳。“妹気質”園部八奏が見せた急成長「何も考えないようにと、考えた」
14歳で米国にテニス留学。広大な大地で育んだスケール感
アメリカは園部にとって、今やテニスの拠点と呼べる地だ。14歳の時、錦織圭らを支援したことでも有名な“盛田正明テニスファンド“の支援を受け、単身、米国フロリダ州のIMGアカデミーに移った。 当時から170 cmに達する長身で、サーブとフォアハンドが武器。その持ち味と物おじしない性格も、フロリダの開放的な空気に馴染んだのだろう。日ごろから多様な選手たちと練習し、北米のみならず南米にも頻繁に足を運べる環境は、しなやかな大器に次々と新たな水を灌(そそ)いだ。錦織の練習を間近に見て、時にはボールを打ってもらうこともある。ちなみに、前出の石井さやかや小池愛菜も、IMGアカデミーが拠点。ここでも彼女は、みんなの“妹分”としてすくすくと育ってきたようだ。 ちなみに身長も渡米後もジリジリと伸びていて、現在は「調子が良い時は174 cm。朝起きてすぐが一番高いんです!」という。文字通り、寝て起きれば見える景色も変わるかのような成長期の最中に彼女はいる。 もちろん伸びたのは、背だけではない。フィジカルトレーニングもしっかり積み、肩回りなどはこの一年ほどで、目に見えて大きくなった。 「身体はめっちゃ太くなって、しっかり安定したと思います」とは本人の弁。その効果が表れる点として、彼女は次のように語る。 「やっぱり一番は、外に振られたときにしっかり踏ん張り、“ため”を作れるようなった。あとは、動きのスピードそのものも上がっていると思います」 さらに今年に入ってからは、戦術面も考えられるようになってきた。 「前は、とにかく全力で打つという感じだったけれど、今はその後の展開を少しは考えられるようになってきた。特にサーブでは、ここに打ったらどういうボールが返ってくるので、そうしたらこう攻める……という感じで」 そう言うと彼女は、「なんとか、3球先くらいまでは」と恥ずかしそうに笑った。 そのように先々の展開を考えるようになったのは、今年は年齢制限のない、プロ大会に出ていることが大きいだろう。現在の園部は、WTAランキング786位。テニスのプロツアーは、燃え尽き症候群対策として弱年層の出場大会上限を設けており、16歳だと年間12大会しか出られない。この点を考慮すると、700位台は十分に健闘している数字だ。 一般の大会に出はじめた園部が実感しているのは、これまで対戦してきたジュニア選手と、プロたちとの差だという。 「やっぱり大人の方は、ミスが本当に少ないなって。メンタルのアップダウンも少ない。ジュニアだと、もう心がポキッて折れちゃったりするじゃないですか。でも、プロはそれがない。これくらい突き放したら相手は諦めてくれるかなと思っても、まだ追い上げてくる」 そのようなハイレベルの環境に身を置くことで、自ずと自身の心身も鍛えられていく。「一般の大会に出たほうが、成長できると感じるか?」と問うと、彼女は「感じます!」と即答した。