「ひろゆき君にお金を借りて」毒親から度重なる借金の無心…西村ゆかが救われた「ひろゆきの一言」とは?
● ずっと大好きだった母 ――心のどこかで「好きでいたい」という気持ちがあった? そうですね。もともと私は母のことが大好きで、小さい時も本当に「お母さん、お母さん」っていう感じでした。 父と母が離婚してからは、主におじいちゃん、おばあちゃんと一緒にいる時間の方が長かったんですけれども、それでもお母さんのことをずっと好きで。 学費のことが理由で、高校生の時に1年半だけ父親と一緒に暮らしたのですが、学費の問題がなかったら、母親と一緒に暮らしたかった。気持ちとしては好きだったんですよね。 ただ、お金の無心であったり、「私のせいで生活が大変だ」みたいなことを言われたり……。どんどん関係が悪くなって、信頼が失われてしまった。これ以上近くにいると、この人のことを嫌いになっちゃう。そうなりたくないから距離を置こう、みたいな。
● 1カ所だけ「ママ」と書いた ――やはり複雑な心理があるんですね。『転んで起きて』では、基本的に「母」という言葉を使っていますが、一緒にバドミントンをした思い出を回想するシーンでは「お母さん」と呼んでいるのが印象的でした。 すごく楽しかった記憶、大切な記憶のひとつです。 文章はだいたい「母」で統一していたのですが、もう1カ所あえて「ママ」と書いたところがあります。亡くなる2日ほど前、母とお菓子を分けあう場面です。 ◇◇◇ 亡くなる2日前に病室を訪れたとき、「ゆか、これ食べて」と言って、母が半分残した焼き菓子を私に手渡してきた。 「どうしたの? おいしくなかったの?」と私が聞くと「ううん。これが一番おいしかったから、ゆかと一緒に食べようと思って残しておいたの」と言った。 私は母からもらったその焼き菓子を「おいしいね」と言って、にこにこしながら食べた。 そこにいたのは、私が小さいころに大好きだったママだった。 母と会ったのは、そのときが最期になった。 (『転んで起きて 毒親 夫婦 お金 仕事 夢 の答え』より)