大谷翔平は失言ゼロ 乱れ飛ぶ質問を〝神回答〟でさばく能力は「令和の聖徳太子」
ドジャース・大谷翔平投手(30)が、メジャー通算8年目のシーズンを迎える。今季の注目は何と言っても投打二刀流の復活だ。1人で2役をこなす万能ぶりは目が肥えたMLBファンをもうならせるが、大谷が持つ特殊能力はほかにもある。米メディアらから日常的に寄せられる、脈絡もなく矢継ぎ早の質問を瞬時にさばく上に「失言」も皆無。もしかすると、あの〝偉人〟の生まれ変わりなのかもしれない――。 大谷が2シーズンぶりにマウンドへ帰ってくる。2023年9月に右ヒジを手術し、昨季は打者に専念。ワールドシリーズ中に脱臼した左肩を昨年11月に手術したが、すでに素振りを再開させ、5日(日本時間6日)にはロサンゼルスにあるマラナサ高校のグラウンドで投球練習を行ったとみられる動画がSNS上で広がった。 ロバーツ監督は3月に東京ドームで行われるカブスとの開幕シリーズでの登板には消極的。ただ、大谷はドジャース移籍後では初となる登板に向けて順調にステップを踏んでいるようだ。 打者としても投手としても超一流であることは証明済みだが、誰にもマネできない二刀流以外でも特殊な技能を兼ね備えている。それが桁外れの頭の回転の速さだ。本場の米メディアは常に厳しい目を向け、試合後などに本人が応対する際は限られた時間の中で質問が乱れ飛ぶ。 メディア関係者によると「各媒体が集まるいわゆる囲み取材では、囲み全体の流れがあるわけではなく、個々に聞きたいことを聞くケースが多い。そのため、話が行ったり来たりすることはよくある。その一つひとつの趣旨をすぐに理解し、的確に答えることは簡単なことではない」という。 大谷の周辺には花巻東高、日本ハム時代と常に多くの報道陣が取り巻いてきたが、米国ではまるで環境が異なる。例えば日本ではシーズン中の平時に、公の場で契約などに関するナイーブな話題に触れることはまずない。終戦の節目やTPOに合わせて質疑を交わすことが〝暗黙の了解〟となっている。 しかし、米国では時と場所を選ばない。古巣のエンゼルスとエンゼル・スタジアムでの公式戦初対戦を控えた昨年9月には、こんな出来事もあった。大谷が「今まで一番多くの時間を過ごした球場で特別」と心境を語っていたところ、米メディアの一人が「エンゼルスからドジャースと同等のオファー(10年総額7億ドル)がなかったことについては?」と切り込んだのだ。 大谷は「エンゼルスがどうこうというより、高く評価してくれた球団に対してありがとうございますっていう気持ち」と切り返したが、なおも「同等のオファーがあれば残留の確率はどれくらいだったか」と〝追い打ち〟。これに対して「実際にされていないので、たらればのことはここでは言えないです。今はこのチームでワールドシリーズで勝つことを目標に頑張っているので、それでいいかなと思います」と返して場を収めた。 別のメディア関係者は「日本では考えられないタイミングでの質問。回答次第ではエンゼルスファンを敵に回す危険性もあったが、誰も傷つけることなく答えられたのは大谷ならでは」と〝神回答〟に舌を巻いていた。 その他の際どい場面でも口を滑らすことなく舌禍や炎上とは無縁の大谷。今や国籍の壁を超越し、多様性に富んだ米国でも「スーパースター」と認知されている。発言は常に注目の的だが、その様子は日本書紀に残る聖徳太子(厩戸王)さながら。10人の訴えを同時に聞き、全て的確に答えた伝説とソックリで、こうした能力もステータスを押し上げているといえそうだ。
東スポWEB