「やっぱすげえなあ、あゆは」 “痛い”と叩かれても…今も浜崎あゆみに「40代が救われている」深い理由
「いろいろ言われるけど、やっぱすげえなあ、あゆは」 SNSにつづられた言葉に深くうなずいてしまう。 16年ぶりのアジアツアー「ayumi hamasaki ASIA TOUR 2024 A~I am ayu~」も1分でSOLD OUT。2000年代のヒット曲を惜しげもなく披露し、中国のファンの熱狂ぶりは、その様子を伝える動画を見ても、興奮が伝わってくるほどだ。 『おむすび』効果により今年は復活か、と予想された紅白歌合戦出場はかなわなかったが、12月30日、31日には、毎年恒例のカウントダウン・ライブ「ayumi hamasaki COUNTDOWN LIVE 2024-2025 A ~I am ayu~」が開催される。そちらを楽しみにしている人も多いだろう。
それでも、1999年から出場した15回の紅白を思い返しても、体から絞るように出すエモーショナルな歌声と、1年の疲れを吹き飛ばすような、華やかな衣装が強く残っている。 2000年の『SEASONS』の白い大きな帽子とドレスはフランス人形さながらだったし、2005年の『fairyland』の花がたくさんついたドレスも本当に可憐だった。また彼女のステージを紅白で見てみたいと思ってしまう。 ■「第2の思春期」と重なるあゆの姿
「虹って不思議なのにウソっぽくないし、見た人をハッピーにする。私もそうでありたいと思った」(アルバム『RAINBOW』〈2002年〉について) かつて、そう語った浜崎あゆみは、虹も出ないほどの嵐を乗り越え、多くの仲間を連れ、力強く歌い続けている。 彼女の歌を聴き、青春を過ごした同世代は40代半ばとなり、第2の思春期に差し掛かる。慌ただしく時が過ぎ、中年層、どう生きていいか悩んでしまうタイミングでもある。時代から賛も否も溺れるほど浴びながら、終わらず、煌びやかに振る舞い歌う彼女の姿は、世紀末とは違う救いがある。
〈なんだかんだやってくんだね 終わりの鐘が鳴る日まで〉(『Aurora』2024年) なんだかんだ、今も輝く浜崎あゆみ。ノスタルジィとは別で、改めて聴きたいと思う。
田中 稲 :ライター